第316話 モーツァルト「レクイエム」鑑賞。

文字数 1,084文字

 愛知県芸術劇場。
 開演ぎりぎりに間に合った。
 幕が開き、おもむろにピアノ協奏曲23番の第1楽章。
 次いで、トルコ行進曲。
 2つの演奏が15分で終わる。

 パチパチパチ…。場内が明るくなり、休憩。
 5階席まであって、ぼくは4階席。はるかかなた、舞台は下界にある。
 そのせいか、ずいぶん小さなピアニストだなぁと思ったけれど、実際小さかった。11歳の子どもだったことを、あとからチラシを見て知った。
 アマデウス国際コンクールで何回も優勝している少年だったらしい。

 休憩後、「モーツァルトとサリエリ」という小オペラ。
 これはもうあの映画のような内容。うーん。50分。

 休憩後、「レクイエム」。
 舞台の中央に棺桶のようなものが置かれていて、そのまわりをバレエのように飛んだり跳ねたりうねうねする10人くらいの人たちがいて、彼らをはさむ形で、左右に合唱団がいた。舞台下に、オーケストラ。
 55分。
 終了。

 さて、非常に「軽い」モーツァルトで、この季節にはよかったのではないかと思う。サンダル履きで来てもよかった。(白いドレスを着てきた年配のお客さんもいたけど)
 23番の第1楽章から入る入り方は気持ちよかった。ただ、オペラは要らなかった。
「レクイエム」には、何回も鳥肌を立たせてもらった。
 目を閉じて聴くと、音がとっても伸びやかで、天井まで心地よく浮かんでいくようだった。ホールの設備がいいのか、チェコ国立歌劇場の演奏のせいなのか、ぼくの気のせいなのか、分からない。
 ただ、今まで聴いたモーツァルトの中で、いちばん音がよかった。

 しかしやっぱり、オーストリアで聴いてみたいものです。
 日本の、こういったオペラとかクラシックの演奏会は、何か「ねじまげられている」気がする。演奏者と聴衆のあいだに、スッキリしない曖昧さがぼやけて見える。
 たぶん、なんでも拍手する『やさしい』聴衆が多いためだろう。
「イイ」と感じた演奏に、強い拍手を送りたい。期待を込めての拍手、ふふん、といった拍手、うーん…って感じた時の拍手。違っていていい。
 どうも、のっぺらぼうみたいな拍手がいつも聞こえる。

 本日は、「レクイエム」に強い拍手。
 ピアノには、期待を込めた拍手。
 オペラには、弱ーい拍手を送ってしまった。

 帰途、ラーメン屋。「フグ」でダシをとっていて、さっぱり味でなかなか美味しかった。フグをから揚げにしたものが海苔で巻かれているおにぎりも食べた。
 精算する時、レジの老婦人に「美味しかったです」と言ったら、ほんとうに嬉しそうにありがとうございます、またいらして下さい、と言われた。

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