第666話 原爆投下・ショウガナイ・か。

文字数 578文字

 そうか、あれはしょうがなかったのか、と、ボーッとテレビを見ていたが、新聞の見出しの「原爆投下、しょうがない」の文字を見て、ハッとした。

「原爆投下、しょうがない」の「原爆投下」の文字は、
「消えた年金、しょうがない」
「女は子どもを産む機械、しょうがない」
「天下り、しょうがない」
「従軍慰安婦、しょうがない」
 に置き換えられるように見えた。
 いかなる理由であれ、イケナイものはイケナイ。しょうがない、で済ませてはイケナイ。

 この防衛相は、自分の発言を撤回、謝ったそうだが、「原爆投下、しょうがない」と言える、明言できるのは、凄いことだ。「しょうがない」では済ませられない、原爆の後遺症で苦しむ人や亡くなった人のことを、ほんとうに『考えることができない』のだ。少しでも考えることができる人間だったら、「しょうがない」なんて、とてもじゃないが、言えまい。

「女は子を産む機械」と言った厚生労働大臣(厚生労働!)も、今も元気にその地位に居座っている。
 言葉は面白い。どんなに繕ったって、その人のホンネのような部分が、それこそどうしようもなくフッと出てしまう。
 そして自分の言葉がまわりに及ぼした影響に慌てて、「ごめんなさい」と謝ってみても、その「謝罪」はただの急場しのぎの、ウワッツラだけに見える。
 ホンネは「原爆投下しょうがない」であり、「女は子を産む機械」なのだ。
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