第698話 40年目の夏
文字数 228文字
よく心臓さまもその動きを止めず、肺さまもニコチンに耐え、肝臓さまも(たぶん)元気である。
脳さまのことは、よく分からない。
わたしの身体、母の胎内で育まれ、その母の身体、そのまた母の身体、と遡ってゆけば、唐突に、海へ帰りそうだ。
生かされて来た。
生まれようと思って生まれて来た訳でない。
死にたいと思って死んで行く訳でもない。
生命は、ただ人間が、考えた、形。
生きて、死んで、生きて、死んでを繰り返して来た、永遠の繰り返しの一端、それがわたしの生命。
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