第847話 仲良きことは…

文字数 760文字

 職場にいる、仲良しのひとり、Sさん。ぼくより、3つほど年長。
 今朝、休憩所に入る時、バッタリ逢着、「おはようございます」「おはようございます」

 するとSさん、ぼくの脇腹をツンツンしてきた。
「わはははは。」 くすぐったくて、適度な力でダメージをくれるツンツン攻撃に、他愛もなく笑い悶え、はしゃぐ。

 ボディー・ブローのように、いいタイミングでツンツン攻撃を受けながら、だはははは、と笑いながら休憩所に入っていく。
 朝だから、みんな静かである。
 空気を察知して、「朝から元気だなー、かめちゃんは。」と、こともなげにSさんが言う。
「だって、Sさんが…」

 そのSさん、今日は二日酔いで、けっこう死んでいた。だから、一緒に昼メシを食い終わった後、喫煙所で、「あのツンツン攻撃、効きましたよ」と言っても、「え?」
 覚えていないのだ。(よく午前中、仕事できてたナ。)
 さすが佐〇急便で20年以上勤めあげた、強者である。

 20代前半のTくんは、よく通りすがりにぼくのお尻を触ってくれる。セクハラではない。
 ぼくも、触り返している。エッチなポーズとかしてくれて、よく笑わせてくれる。

 ぼくと同じ持ち場で働くNくんは、最終学歴は中卒だそうだ。ぼくだって、大学は中退したけれど、この会社では「最後に卒業した学校」が最終学歴で、中退は認められない。だから、ぼくも中卒(大検も学歴には入らない)、なんとなくおもしろい。

 仲良くしてくれる人たちがいてくれて、ありがたいと思う。これは、ほんとにありがたい。

「仲良きことは、美しきこと…」
 実家にあった、近所の酒屋からもらった日めくりカレンダーに、そんな言葉が書かれてあった。
 エッチな話したり、二日酔いでよく分からなかったり、細部をひもとけば、「美しさ」とは、程遠いけれども。(そんなことないよな。)
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