羽化(鬼車退治後顛末) 2
文字数 493文字
ところで、鸞が――久生が喰えない存在とは、果たして如何様 な様なのか。
白雀の胸の辺りに、ポツリと丹い光が燈った。
それは、植物が芽吹くがごとくするすると天へ向けて這い登り、丁度鸞が見上げるくらいの高さで蕾のような玉を作った。
丹い玉はしばらくの間、同じ場所で回転を繰り返していたが、何の拍子か、乾いたパリッという音をたててほどけた。
鸞も、波武も、ただポカンとしてソレを見上げている。
丹い玉は炎の花弁をパリパリと広げながら、どんどんとほどけていく。やがて、ソレは大人の二抱えもあるような大輪の菊花となって洞穴内の隅々まで照らしだし、辺りは春の太陽に照らされたかのように暖かな熱と光に満ちた。
――シャン!
どこかから、鈴の音が響いた。
――チリーン!
続いて、涼やかな鉦の音が。
「……これは?」
鸞が手を翳す。天井から、雪の様に次々と花弁が降ってきた。
(まさか、魂が丹と馴染んだからって、こんな見事な花になるとは思わないわよね?)
「その声は、伯労か!」
波武が天井を見上げて叫んだ。
(うふふ。声だけでごめんなさいね。現身がどんなだったかなんて、もう昔のこと過ぎて忘れちゃったのよ)
白雀の胸の辺りに、ポツリと丹い光が燈った。
それは、植物が芽吹くがごとくするすると天へ向けて這い登り、丁度鸞が見上げるくらいの高さで蕾のような玉を作った。
丹い玉はしばらくの間、同じ場所で回転を繰り返していたが、何の拍子か、乾いたパリッという音をたててほどけた。
鸞も、波武も、ただポカンとしてソレを見上げている。
丹い玉は炎の花弁をパリパリと広げながら、どんどんとほどけていく。やがて、ソレは大人の二抱えもあるような大輪の菊花となって洞穴内の隅々まで照らしだし、辺りは春の太陽に照らされたかのように暖かな熱と光に満ちた。
――シャン!
どこかから、鈴の音が響いた。
――チリーン!
続いて、涼やかな鉦の音が。
「……これは?」
鸞が手を翳す。天井から、雪の様に次々と花弁が降ってきた。
(まさか、魂が丹と馴染んだからって、こんな見事な花になるとは思わないわよね?)
「その声は、伯労か!」
波武が天井を見上げて叫んだ。
(うふふ。声だけでごめんなさいね。現身がどんなだったかなんて、もう昔のこと過ぎて忘れちゃったのよ)