拾われたもの 2
文字数 506文字
「ここ……は?」
声にならないかすれた息を絞り出した。
「前線から大分下がったところに確保した輜重 隊の基地だ」
輜重 ……後方支援基地か。
男は俺の身体を支えながら、ゆっくりと姿勢を戻した。
「ここでは応急処置くらいしか出来ん。意識が戻ったのであれば、更に医術の整った本陣へ回そう」
「……あ」
「心配せんでいい。そもそも
選んで……。
ああ、そうか……、俺は「生かせ」と言われたのだな。
とりあえず、その価値はあるモノと目 されたのだ。
でなければ、敵陣の中わざわざ拾いに来るものもおるまい。
命を繋いだ喜びよりも、カラクリの種明かしを見たような感覚が先に立った。
「鳰 ! 手は空くか? コヤツの搬送を頼みたい」
男がどこぞへ呼ばわると、視界に新たな影が差した。
つるりとした形に、ハッとして視線を移す。
足元に立っていたのは、見たこともない者だった。
ビスクの被り物のような白い頭に、目のところだけが穿 たれ、鼻と口のあたりに微妙な造形を施した飾り気のない面 。首から下は肌理 の分らぬ衣装で覆われている。
自動人形か人造人間か?
訝 っているところを、男が説明した。
「驚かせたな。この子は鳰 という。
声にならないかすれた息を絞り出した。
「前線から大分下がったところに確保した
男は俺の身体を支えながら、ゆっくりと姿勢を戻した。
「ここでは応急処置くらいしか出来ん。意識が戻ったのであれば、更に医術の整った本陣へ回そう」
「……あ」
「心配せんでいい。そもそも
選んで
おる」選んで……。
ああ、そうか……、俺は「生かせ」と言われたのだな。
とりあえず、その価値はあるモノと
でなければ、敵陣の中わざわざ拾いに来るものもおるまい。
命を繋いだ喜びよりも、カラクリの種明かしを見たような感覚が先に立った。
「
男がどこぞへ呼ばわると、視界に新たな影が差した。
つるりとした形に、ハッとして視線を移す。
足元に立っていたのは、見たこともない者だった。
ビスクの被り物のような白い頭に、目のところだけが
自動人形か人造人間か?
「驚かせたな。この子は
改造人間
だ」