拾われたもの 7
文字数 387文字
ところで、こちらが動けぬ間に戦況はどう動いたのだろうか。
「……状況は?」
「日が落ちて両軍一旦は引き上げたものの、前線は只今膠着状態とお見受けいたします。明日が山かと……」
頭を下げたまま、阿比 が答えた。
長引くほどにこちらが不利だ。
膠着まで持ってこられたということは、ある程度、あちらの力を削ぐことは出来たのか。
後は……こちらにどれ程の戦力が残っているのか。
ふいに、遠く、狼の遠吠えが聞こえた。
阿比 が顔を上げて耳を澄ます。
先程ここまで送ってくれた鳰 と波武 が胸に去来した。
夕闇がせまっていた。
梟 が心配していたが、無事に帰り着いたのだろうか。
気づかわし気に愁眉を作った阿比 は、失礼、と頭を下げて辞去した。
何がおきたのか。
自由に動けない身が口惜しい。
舌打ちしたい思いであったが、次第に意識の帳 が下りてきたのを感じた。
どうやら、薬が、……効いてきたようだ。
「……状況は?」
「日が落ちて両軍一旦は引き上げたものの、前線は只今膠着状態とお見受けいたします。明日が山かと……」
頭を下げたまま、
長引くほどにこちらが不利だ。
膠着まで持ってこられたということは、ある程度、あちらの力を削ぐことは出来たのか。
後は……こちらにどれ程の戦力が残っているのか。
ふいに、遠く、狼の遠吠えが聞こえた。
先程ここまで送ってくれた
夕闇がせまっていた。
気づかわし気に愁眉を作った
何がおきたのか。
自由に動けない身が口惜しい。
舌打ちしたい思いであったが、次第に意識の
どうやら、薬が、……効いてきたようだ。