拾われたもの 4
文字数 600文字
そこへ、何人かの男たちが部屋へ入ってきた。
身なりからして梟 と同じ医術者か、それに類する者らのようだった。俺は幾多の腕に抱え上げられて戸板のようなものに移された。
部屋の外はどうやら野外のようだったが、薄闇に閉ざされ、彼誰 か誰彼 時かもわからない。
笠を目深に被った人影が視界に入った。服装からして先程の鳰 と判った。
鳰 の脇に毛むくじゃらの獣 がひかえている。
ふと、夢現の幻を思い出した。
あれは、いかような生き物であったか? 覚えがない……。
「鳰 よ、コヤツを本陣へ送ったらすぐ戻れ。夕闇が迫っておるのでな。いかな波武 が同行とはいえ、夜道は危ない」
梟 の弁に、今が誰彼 時であるとようやく知れた。俺は背負子 のようなものに括りつけられて、鳰 に負われた形で獣の背に乗った。
獣はどうやら大きな狼犬のようだ。
梟 は俺の耳に何かを押し込んだ。
一瞬、キンと耳鳴りがする。
(白雀 様。聞こえますか?)
頭の中に言葉がひらめいた。何事かと目を見張る。
(鳰 です)
「う……あ………」
装置を使って念波で話すといっていたか。
慣れぬ感覚と抑揚の少ない声に全身が粟立った。
(麻薬にて痛みはさほど感じ難いとは思いますが、道を急ぎますので揺れにはご容赦ください)
「……う」
まともに話すことが出来ないながら、精一杯の承諾の意は伝えた。
(波武 、行くよ)
狼犬は低く唸ると、夕闇に陰り始めた山道へ飛ぶように走り込んでいった。
身なりからして
部屋の外はどうやら野外のようだったが、薄闇に閉ざされ、
笠を目深に被った人影が視界に入った。服装からして先程の
ふと、夢現の幻を思い出した。
あれは、いかような生き物であったか? 覚えがない……。
「
獣はどうやら大きな狼犬のようだ。
一瞬、キンと耳鳴りがする。
(
頭の中に言葉がひらめいた。何事かと目を見張る。
(
「う……あ………」
装置を使って念波で話すといっていたか。
慣れぬ感覚と抑揚の少ない声に全身が粟立った。
(麻薬にて痛みはさほど感じ難いとは思いますが、道を急ぎますので揺れにはご容赦ください)
「……う」
まともに話すことが出来ないながら、精一杯の承諾の意は伝えた。
(
狼犬は低く唸ると、夕闇に陰り始めた山道へ飛ぶように走り込んでいった。