梟の施療院 8
文字数 670文字
いきなり胃の腑のあたりで
慌てて口元を抑える。
こみ上げてきた苦い液が指の間から糸を引いて垂れた。
ここで吐き戻しては駄目だ。
つんのめるようにまろび出て、部屋を飛び出す。
表の扉を肩からぶつかるようにして押し開け、庭の隅に駆け込んだ。
地べたに這いつくばるようにして嘔吐 く。
せり上がってきた
苦い液と共に口内に押し出されてきた。
苦しい。
涙と汗にまみれて視界が霞む。
「……っ、ぐぅかああぁ」
ゲロリと吐き出した
なに?
薄目を開けて、
「!」
ただ、苦い液だけが糸を引いて口内から垂れた。
これはなんだ?
俺は、一体何を吐き出したんだ?
わけがわからなかった。
「白雀 殿」
背後で阿比 の声がした。
両肩が抱かれ、水で満たした盥 を押し付けられる。
俺は無様に慌てながら盥を受け取ると、顔を洗い、水を口に含んで吐き出した。
何度も口を漱 ぎ、盥は瞬く間に空になった。
「大丈夫……ではないよな」
阿比 は含み笑いをもらして、今度は冷たい水で満たした杯を差し出した。清らかな水で喉を潤し、俺はようやくと人心地が付いた。
視線を泳がせつつ、肩で息をする。
「一体……」
これはどういうことなのだ?
「説明する前に体験する羽目になってしまった。ま、百聞は一見にしかずと言うからな」
「なに?」
俺は目を剥いて阿比を見た。
「貴殿は、遠仁を喰う仙丹を宿してしまったらしいな」
何か
が蠢いて喉をついてせり上がってきた。慌てて口元を抑える。
こみ上げてきた苦い液が指の間から糸を引いて垂れた。
ここで吐き戻しては駄目だ。
つんのめるようにまろび出て、部屋を飛び出す。
表の扉を肩からぶつかるようにして押し開け、庭の隅に駆け込んだ。
地べたに這いつくばるようにして
せり上がってきた
何か
は喉を押し開き、苦い液と共に口内に押し出されてきた。
苦しい。
涙と汗にまみれて視界が霞む。
「……っ、ぐぅかああぁ」
ゲロリと吐き出した
もの
は、糸を引いて地べたに落ちた。なに?
薄目を開けて、
それ
を見る。「!」
それ
を見て、別の何かがこみ上げてきたが、もう吐き出すものは何もなかった。ただ、苦い液だけが糸を引いて口内から垂れた。
これはなんだ?
俺は、一体何を吐き出したんだ?
わけがわからなかった。
「
背後で
両肩が抱かれ、水で満たした
俺は無様に慌てながら盥を受け取ると、顔を洗い、水を口に含んで吐き出した。
何度も口を
「大丈夫……ではないよな」
視線を泳がせつつ、肩で息をする。
「一体……」
これはどういうことなのだ?
「説明する前に体験する羽目になってしまった。ま、百聞は一見にしかずと言うからな」
「なに?」
俺は目を剥いて阿比を見た。
「貴殿は、遠仁を喰う仙丹を宿してしまったらしいな」