遠仁の憑坐 4
文字数 571文字
やっと、血縁のように気兼ねなく接することができるようになったというのに。哀れみや憐憫の情で鳰を見るのは間違っている。
表の扉を開けると、
「あ……、鳰は?」
「もう、休むといって、
「そうか……。もう、夜も
図らずも、ホッとしてしまった。
「この世ならぬものを吐き出して、気が悪いであろう。香茶でも淹れようぞ」
梟は、俺の背に軽く触れると
あの感触を思い出して、俺は己の喉元に手をやった。
アレは……しばらく夢に見そうだ。
時を置かずに花の香を放つ茶を淹れて、梟が戻ってきた。
既に準備してあったのだろう。気遣いがありがたい。
思い思いの場所に腰を下ろして、しばし花の香を楽しんで茶を啜った。
「白雀殿……」
茶を半分ほど飲み下したところで、梟が改まった調子で呼ばわった。
目を向けると、梟は一点を見つめて暗い顔をしている。
何事か、と、湯呑を膝に置いた。
「一つ……儂は、お主を
「なんのことだ?」
俺は、目を瞬き、阿比にも目を配った。
何故だか、阿比も渋い顔をしている。
「お主に『丹』を埋め込んだのは、国主殿の命じゃ」