入れ子 4
文字数 693文字
「そんな保証は何処にもないぞ。俺は、……鬼車を倒せぬかもしれぬ」
俺が顔を顰めると、伯労はふふんと笑って俺の顔を覗き込んだ。
「そんなわけ無いわ。言ったでしょ? あんたの中は鳰ちゃんが占めてるんだもの。鳰ちゃんの為だったら、絶対にやり遂げてみせるわ。そうでなきゃ、私が、雎鳩が引く意味がない」
俺はゴクリと固唾を飲んだ。
「俺が、伯労を喰うたら、雎鳩はどうなるんだ?」
「元通り。それだけよ。雎鳩は雎鳩になる。今の私より、ちょっと真面目ちゃんかな? こんなぶっちゃけた話し方なんかしないわ。もっと奥ゆかしい子だもん。でなかったら、こんな長年あんたを思い続けたりしないし、思いつめて死のうとしたりしないわよ」
「そうか……」
今の伯労とは、姿は同じでも全然違う人格なのだな。当たり前だが。
「一つだけ、心配なことがあるの」
伯労の瞳が、翳った。
「仙丹は、贄と同じようなものなのだけど、遠仁を喰い続けた所為で魂と仙丹が馴染んできてしまった。もう、肉が不要になりかけているの。多分、未だもう少しは大丈夫だと思うのだけど余り無茶はしないで」
「え? ……何? どういうことだ、それは」
「そのまんまよ。無茶はするなってこと」
「『丹』の意味とは……贄と同じということは……」
――贄は肉と心をくっ付ける役割をするモノ
「あら……、聞かされてなかったんだ? あんた、死んでるのよ」
「は?」
「魂と肉を丹が繋いでる状態なの。だから、あんたの時間は23歳の冬で止まっている。永遠に……」
「では、不死不滅と言うのは……」
「死んでいる者はこれ以上死にようがないでしょ?」
――人間はそもそも『丹』の意味をはき違えておるからな
俺が顔を顰めると、伯労はふふんと笑って俺の顔を覗き込んだ。
「そんなわけ無いわ。言ったでしょ? あんたの中は鳰ちゃんが占めてるんだもの。鳰ちゃんの為だったら、絶対にやり遂げてみせるわ。そうでなきゃ、私が、雎鳩が引く意味がない」
俺はゴクリと固唾を飲んだ。
「俺が、伯労を喰うたら、雎鳩はどうなるんだ?」
「元通り。それだけよ。雎鳩は雎鳩になる。今の私より、ちょっと真面目ちゃんかな? こんなぶっちゃけた話し方なんかしないわ。もっと奥ゆかしい子だもん。でなかったら、こんな長年あんたを思い続けたりしないし、思いつめて死のうとしたりしないわよ」
「そうか……」
今の伯労とは、姿は同じでも全然違う人格なのだな。当たり前だが。
「一つだけ、心配なことがあるの」
伯労の瞳が、翳った。
「仙丹は、贄と同じようなものなのだけど、遠仁を喰い続けた所為で魂と仙丹が馴染んできてしまった。もう、肉が不要になりかけているの。多分、未だもう少しは大丈夫だと思うのだけど余り無茶はしないで」
「え? ……何? どういうことだ、それは」
「そのまんまよ。無茶はするなってこと」
「『丹』の意味とは……贄と同じということは……」
――贄は肉と心をくっ付ける役割をするモノ
「あら……、聞かされてなかったんだ? あんた、死んでるのよ」
「は?」
「魂と肉を丹が繋いでる状態なの。だから、あんたの時間は23歳の冬で止まっている。永遠に……」
「では、不死不滅と言うのは……」
「死んでいる者はこれ以上死にようがないでしょ?」
――人間はそもそも『丹』の意味をはき違えておるからな