第327話 Uptown Girlはトッチャンボーイ

文字数 727文字

・8月24日 トッチャンボーイ

ブルテリアの文さんの散歩を終えて、飼い主の菅原さんと立ち話。

菅原さん、近頃娘さんに教わりながら始めたPCネット通信で、昔好きだったビリー・ジョエルの動画を見つけてとても懐かしかったらしい。

「それにしても、あれって今聴いても、どうしても『トッチャンボーイ』って聴こえるんですよねぇ」

『Uptown Girl』という曲についてらしい。そういえば、俺も聞いたことあるな。そんで、俺にもやっぱり「とっちゃんぼーい」としか聴こえなかったような。

「トッチャンボーイ……」

何故か、俺の顔をじっと見て呟く菅原さん。ん? 何かついてる?

「……何でも屋さんて、トッチャンボーイって感じですよねぇ。見掛けが、ってわけじゃないですけど、……雰囲気?」

いや、俺に聞かれましても。意味分からないです菅原さん。そして文さんよ、「ぼんぼん!」って、同意するみたいに吠えなくてもいいと思うんだ。





・8月25日 毟り続けたいのに

久しぶりの晴れ間が広がる午前、砂原さんちで草むしり。

警報が出るほどの大雨は困るけど、地面が柔らかくなるから雑草の硬い根っ子を毟るにはいいんだよなぁ、などと思いながら手を動かしてたら。

蚊に喰われた。
目蓋を。

くっ! 痒い。みるみる腫れてきているのが分かる。薬、虫刺されの薬! 腰に付けたポーチに入れてあるけど、この泥まみれの軍手を脱がないと、薬塗れない。てか、軍手脱いでも手が汚れてるから下手するとよけい腫れる。

キリのいいところまで毟りたいのに! 

──まあ、いいや。ちょっとの間腫れるだけだし、ガマン。なんか目蓋がすごく腫れぼったくなった気がするけどガマン。

……そういや、今日は携帯蚊取り線香皿忘れたなぁ。

頑張れ俺。蚊なんかに負けるな俺。
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