第323話 俺は寝相が良い

文字数 687文字

・7月30日 坂道上る

午後から、空が真っ暗になった。
かすかに近づいてくる、雷鳴。

こりゃ、降るなぁ……。

頼まれてる瀬戸さんちの庭の水遣り、どうしようかな。そう思いながら自転車を漕ぐ。ちょっとした夕立程度なら、やっぱり水遣りが必要だ。表面だけ濡れて土の中まで水がしみてないっていう、インナードライ状態だからさ。

ああ、でも降る前にこの買い物届けないと。乾さんちは坂の上。
急げ、俺。

あーっ! 後ろに積んでたトイレットペーパーが落ちた。ここは坂道、傾斜二十度。くっ!





・7月31日 俺は寝相が良い


七月も今日で終わりか……。
七月最終日は暑かった。八月一日である明日も、きっと暑いだろう。

はぁ……。

ところで、俺には最近気になることがある。

俺は寝相がいい。
寝付いてから朝目が覚めるまで、じっと仰向きで寝ている。寝ている間のことなのに何故断言出来るのかというと、たまに踵が地味~に痺れていることがあるからだ。

何故痺れているのか、最初は分からなかった。隠れた病気でもあるのか? と慄いたものだ。が、自分の寝相に思い当たった時、謎は解けた。床擦れがどうして起こるのかを、おぼろげながらも身をもって理解したわけだ。

寝相がいいのはいい。
だけど、困ることがある。

布団が、へこむ。

毎日毎晩、布団の真ん中で行儀良く寝ているせいで、その部分が凹む。すると仰臥した時、頚骨や背骨が不自然に沈み込む形となり、結果、肩や首が凝るようになってくる。

寝てる間に凝る肩。首。
イヤ過ぎる。

布団を干しても、ふかふかしてるのはその時だけで、またすぐに凹んでしまう。
これは、布団を買い換えるしか無いんだろうか。

うーん、悩む……。
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