第310話 雨に備えてコロッケを

文字数 643文字

・5月19日 もふってやる!

やっぱり今頃の緑が一番鮮やかかな~、なんて思いながら、清水さんちに向かっていた。これから模様替えの手伝いに行くのだ。

途中の道に、桜の木々に囲まれて古くからのお地蔵さんがある。何となく手を合わせ、そのまま歩き出そうとした時。ばさばさばさっ! という音と共に、木の上か何か降ってきた。猫だ。そいつは辛うじて地面との激突を免れ、俺の肩にしがみついている。

びっくりしたなんてもんじゃなく、しばらく硬直していたら、落ちてきた猫は何故かパシッと俺のほっぺたを叩き、肩から飛び降りて逃げて行った。

爪は出してなかったから痛くなかったけど、猫に横っ面張られるってどうなんだよ。俺の人間としての尊厳は……。

大方、木に登ってみたはいいが降りられなかった、というオチなんだろうけど、せめて鳴き声を上げて知らせるとかなかったのか、猫め。

今度会ったら、今度会ったら──。

とっ捕まえて、もふり倒してくれるわ!





・5月20日 雨に備えてコロッケを

今日は朝から曇り空。午後からは雨の予報。

そんなわけで、夕方から頼まれてる犬の散歩用に、手持ちの犬用レインコートをチェック。たいがいの飼い主さんは自前のレインコートを用意してるけど、その辺、無頓着な人もいるからな。

今年の梅雨入りは遅めだというけど、梅雨でなくても大雨は降る。今日の午後から予想されている雨も、けっこう強そうだ。

あー、そういえば、長靴に穴が開いてきたんだった。今のうちにちょっくら商店街まで買いに走るか。ついでにコロッケ買ってこよう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み