第247話 味噌汁にカレー粉は有りだと思う

文字数 1,405文字

・3月22日 春分の日前後

春分の日も過ぎて、今日は振り替え休日。
とはいうものの、俺にはあんまり関係ない。

春休みの連休ってことで、家族で出かけるところが多くなるせいか、ペットの世話が増えるくらい。猫だと最近は自動給餌器があるから一日二日は大丈夫みたいだけど、犬はやっぱり散歩がなぁ。

そんなわけで、朝と夕方が忙しい。昼間も細々とした仕事があるし……ま、何でも屋としては忙しいのはありがたいことだよな。

はぁ。

あ、野田さんちの庭で白木蓮が満開だ(辛夷かも?)。この時期になると、あちこちでいきなり花咲かすんだよなぁ。いつ咲き始めのか分からなくて、気づいた時にはいつも満開。不思議な木だ。





。3月23日 双子の弟と白木蓮

今日もあちこちで白木蓮が咲いてる。もうちょっとすると外側が茗荷色のが目立ってくるんだよな。茗荷色っていうか、赤紫?

……
……

子供の頃のこと、思い出した。

庭にあった白木蓮ぼーっと見てたら、隣にいた弟が「ソフトクリームに似てるよね」って言ったんだ。心の声が聞こえたのかと思ってびっくりした。だって、俺もちょうどそう思ってたとこだったから。

白くて、ひんやりして、おいしそうだな、って。

その後、お小遣いもらって、二人して近所の小さなスーパーマーケットまでソフトクリーム買いに行ったっけ。まだちょっと寒かったけど、あれ、うまかったな。

俺たちって、やっぱり双子だったんだよな……。





・3月27日 桜とウソ

春休みの今日は娘との面会日。手を繋いで、公園の桜の下を歩く。

まだ三分咲きというか。
もう三分咲きというか。

この子も四月からは三年生。成長していく娘の姿がうれしくもあり、また寂しくもある。

「パパ!」

「ん? どうした、ののか?」

いつの間にかもの想いに耽っていた俺は、娘の興奮した声で我に帰った。

「あそこ、ほら、小鳥さんがいる!」

「ああ……」

小さな鳥が、小さな桜の花房を咥えている。

「あれは、桜のお花を食べてるんだよ」

「お花を食べるの?」

驚いたように俺を見上げる娘に、俺は微笑んでみせる。

「うん。食べるよ。桜の蜂蜜っていうのがあるくらいだから、甘いのかもしれないね」

「桜のはちみつ? おいしいの?」

「おいしいと思うよ」

桜の蜜かぁ、なめてみたいなぁ、とはしゃぐののか。来年も、再来年も、こんなふうに手を繋いでのんびり過ごせるだろうか……。





・3月29日 味噌汁にカレー粉は有りだと思う

今日は午後から公園近くの戸川さんちの樋掃除してたら、霙が降って来たんでびっくりした。

冷えるとは思ったけど、まさか霙が降るとは思わなかった。しかも、時々雪になってたし。

作業用の靴履いてたから、足が滑る心配はなかったけど。

夕方にも雪混じりの霙が横殴りに降ってたし、もう冷え冷えだ。ふと思いついて、昨夜の残りの味噌汁(えのきと油揚げ入り)にカレー粉入れてみた。……結構イケるかも。

とりあえず、身体はすごく温まった。






・3月30日 霙と雪の翌日は

今日は一日天気が良くて、気持ちのいい日だった。

空気中のホコリやら何やらは昨日の霙・雪・雨に流されたんだろう、すがすがしいほど視界がクリアだ。

朝夕は冷えるけど、桜も咲いてきたし、その辺の道端にはタンポポやオオイヌノフグリが咲いているし、あちこちのプランター花壇は春爛漫。

散歩の楽しい季節になってきたなぁ。明日の朝はグレートデンの伝さんの散歩だ。夕方はシェパードの夏子ちゃん。

うん。パパ、頑張るからね、ののか。
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