第96話 1月22日  コンビニタバコ屋の婆さん

文字数 627文字

朝起きたら、雪が積もっていた。

昨夜はいつになく冷えたが、雪が降る前だったからか。今日も空は暗く、グレーと白と鉛色のマーブルになっている。うーん、マーブルはやっぱりチョコレートのほうがいいなぁ。

などと考えながら歩いていたら、コケた……。
雪がまだとけていなかったのが幸いだが(でなけりゃ、ケツがぐしょぬれだ)、やれやれと立ち上がったところでちょうどコンビニタバコ屋の婆さんと目が合った。このあたりは通勤の人通りがあるからか、早くから店を開けているようだ。

ばっちり目撃していたはずなのに、婆さん、何のリアクションも無い。

笑うなり何なりしてくれよ~、と内心で思いつつ、へらへら笑って挨拶したら、無表情に手招きされた。

な、何だ?

コンビニのドアと別になってる窓口に寄っていくと、使い捨てカイロと飴をくれた。

あ、ありがとう、婆さん。
俺、喫煙しないけど、煙草の買い物を頼まれたら、ここまで買いにくるよ。

「朝飯食わないからコケるんだよ」

ぽつっとひと言。

な、何でだ婆さん。何で俺が朝メシ抜いたの分かるんだ? さすが、どんなにフケたオッサン顔をしていても、未成年を見破る眼力の持ち主。ちなみに、どんなに見た目が童顔でも、年齢がハタチ以上なら特に確認もせずタバコを売ってくれるという。

俺は婆さんに礼を言って、コンビニに入りなおして肉まんを買ったのだった。

さて、頑張って小学生の登校見守り当番のピンチヒッター、行ってきますか。
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