第282話 汗の季節は梅干しで乗り切れ!

文字数 1,120文字

・8月7日 汗の季節は梅干しで乗り切れ!

一日の仕事が終わり、屋上菜園の水撒きも済ませ、風呂に入って晩飯(山芋の短冊切りに海苔と醤油かけたのと、茗荷の味噌汁、茹でておいた鶏の胸肉に梅肉ソース添えたの、胡瓜の漬物、ご飯)を済ませた頃、宅配便が来た。

配達員の兄ちゃん、頑張って接客用笑顔キープしてるけど、かなり疲れてるみたいだ。汗びっしょり。

サインした受け取りを持って、すぐ退出しようとしたのをちょっと待ってもらい、大きめのグラスに入れた麦茶と種を取っておいた梅干しをすすめてみた。

兄ちゃん、戸惑ってたみたいだけど、喉が渇いてたのか麦茶をごくごくやり、匂いにそそられたのか、梅干し口に放り込んで、また残りをごくごくやった。

「梅干し苦手だったのに、こんなに美味いと思わなかった」と驚く兄ちゃん。瀕死の魚みたいだった目に力が戻って、来た時よりも凄く元気になってくれた。一応水分は取ってたらしいけど、清涼飲料水ばっかりだったらしい。

いや、兄ちゃん、汗かく仕事なら、そんなものより麦茶に塩入れたのとか、水に梅干しとか、そういうのの方が絶対元気出るよ、と体験談を語っておいた。兄ちゃんは真剣に頷いていた。

礼を言って兄ちゃんが去った後、届いた荷物を見てみたら、娘のののかからだった。中身は数枚のTシャツ。この季節、これはありがたい。日に何度も着替えなきゃならないくらい、汗かくもんなぁ。

明日も俺、いっぱい汗かくだろう。でも、色々工夫してしのいでみせる。宅急便の兄ちゃんも、大変だろうが頑張れ!





・8月8日 このTシャツはリバーシブル!

ペンキ塗りの仕事を終えて、速攻で家に戻り、ざっとシャワーを浴びて汗を流す。作り置きの塩麦茶を大急ぎで水筒に詰め直し、テレビの上の時計を横目に、次の仕事に遅れそうだと慌てて外に飛び出して、しばらく走ってふと気づいたら。

Tシャツ、裏表間違って着てた。

……
……

こんな往来で着替えるわけにもいかない。これはこういうデザインなんです! で押し通そう。

あー、暑さで脳味噌溶けたかなぁ。
太陽が、眩しい。

……
……

頑張れ、俺! 負けるな、俺!





・8月9日 虹の向こうは

昼頃、道路を濡らす程度に雨が降った。

風は生暖かいけど、かなり気温が下がったようだ。朝よりも断然涼しい。そういえば先週の何曜日だったか、立秋だったんだっけ。知らない間に季節は巡り、秋は確実にやって来る。太陽の光がどこかもの寂しくて……。

あ! 片足だけの虹!

おお、すごい。片方だけなのにどどーんと立ってる。とても鮮やかだ。もう片方が見えなくて残念なくらい。

うーん、全体が見えないくらい大きな虹、という可能性もあるよな。どっかの高いビルの上からなら、それを見ることができるんだろうか。
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