第364話 いつかの節分
文字数 328文字
今、俺は人間じゃない。
鬼だ。
「きゃー!」
「おにはそとー!」
「ふくはうちー!」
「あっちいけ、おにー!」
甲高い声ではしゃぐ幼稚園の子供たちに豆をぶつけられながら、鬼の俺は運動場を逃げ惑うふりをする。やけに凝った出来の鬼の扮装、誰だ、こんなん作ったの。まるでナマハゲじゃないか。
ふと教室の窓を見ると、ここで唯一の男の先生がすまなさそうに俺を拝んでる。俺がボランティア引き受けなければ、彼がこの豆つぶてを浴びてたんだな。
「おにー、おにー、まてー!」
「おにはそと!」
「にげるなー!」
「おにはーそとー!」
……盾と矛って知ってるか、子供たちよ。知るわけないわな。豆だって、下手に当たると痛いんだぞ。パラパラパラパラ、ったく、9ミリパラペラムかってんだ。
この、子鬼どもめ。
鬼だ。
「きゃー!」
「おにはそとー!」
「ふくはうちー!」
「あっちいけ、おにー!」
甲高い声ではしゃぐ幼稚園の子供たちに豆をぶつけられながら、鬼の俺は運動場を逃げ惑うふりをする。やけに凝った出来の鬼の扮装、誰だ、こんなん作ったの。まるでナマハゲじゃないか。
ふと教室の窓を見ると、ここで唯一の男の先生がすまなさそうに俺を拝んでる。俺がボランティア引き受けなければ、彼がこの豆つぶてを浴びてたんだな。
「おにー、おにー、まてー!」
「おにはそと!」
「にげるなー!」
「おにはーそとー!」
……盾と矛って知ってるか、子供たちよ。知るわけないわな。豆だって、下手に当たると痛いんだぞ。パラパラパラパラ、ったく、9ミリパラペラムかってんだ。
この、子鬼どもめ。