第292話 いつかの年末

文字数 1,127文字

・12月23日 いつかの年の天皇誕生日

今日は十二月二十三日、天皇誕生日。

木曜で祝日、後に続くはクリスマスに仕事納めなので、この日から旅行に出かける顧客も多い。ペットの世話と散歩の仕事の増える時期だ。忙しいよなぁ、ありがたいけど。そんなことを考えながら、昼飯は素早くかっこめる牛丼。

健康のためにはサラダも付けるべきか、と悩みつつ、店内のテレビを見る。と、天皇陛下の会見が。

……陛下もさかなクンのことを「さかなクン」ておっしゃるんだ。すごいなぁ、さかなクン。陛下も魚類学者でいらっしゃるから、きっと以前から彼のことはご存じなんだろうなぁ。

クニマスか。初めて知ったけど、生き残ってて良かった。





・12月25日 クリスマス最終日は着ぐるみで勝負

十二月二十五日。
今日はクリスマス最終日だ。

クリスマスに最終日ってのもおかしなもんだけど、ハロウィン終わったらすぐ街中クリスマス・デコレーションにチェンジ。で、本番(?)の二十五日を過ぎれば翌二十六日からまたいきなり正月仕様に変わるんだから、「最終日」ってのもあながち間違いではないと思う。

そんなことを考えつつ、売れ残りのクリスマスケーキを必死に売る俺は、何故かトナカイのコスプレ。隣では今回の雇い主兼ケーキ屋のオヤジが、トリガラのような身体にサンタクロースの衣装をまとってる。

そんなアヤシイ二人の売るケーキが売れるわけないだろ、と俺は思ってた。

だけど、売れてる。何故か売れてる。昨日はほとんど売れなかったらしいんだけど。

オヤジは、「俺たちはゴールデンコンビだ!」とはしゃいでる。オマケのケーキくれるらしいから、ま、いいか。

だけどさ。

ここのケーキ、本当に美味いんだ。
今日ものすごく売れてるのは、急遽始めた試食のお陰だと思うんだけどなぁ。





・12月30日 いつかの年末・鏡餅アタック

この二十八日、寺の餅つきを手伝った。そしたら、帰りに住職が鏡餅くれた、でっかいの。昆布と干し柿と橙の乗った本格派。

ラッキー! って喜んでたら。

その後の二日間でさらに四人の人から鏡餅もらった。申し合わせたわけでもないんだろうけど……お陰で現在、部屋の中、鏡餅だらけ。お寺でもらったの入れて計五個。

せっかく厚意で頂いたものだから、なんとかかんとか場所開けて飾ってはみたものの、シュールだ・・・

「賽の河原・白い石積みバージョン」に見えてしまうのは、俺が疲れてるせいだろうか。

まあ、ここ二週間くらい、あっちこっち駆けずり回って仕事してるから、「お正月の用意、する暇もないでしょう?」ってみんな同情してくれたみたいなんだけどさ。

明後日にはもう新年とはいえ、一足先に正月が来てしまったような気がしてしょうがない。明日もまだきっちり仕事入ってるんだけどなぁ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み