第330話 防災の日と赤とんぼ

文字数 757文字

・9月1日 防災の日

九月一日。今日は防災の日。

町内会の防災訓練は、一足早く昨日に行われた。ちょうど日曜日だったし、八月は豪雨の被害も多く、とりわけ広島の山崩れ災害はショッキングだったから、参加者もみな真剣だった。

昨日は俺も仕事の合間を縫って訓練に参加してきたけど、痛感したのはこれまでのような受け身の考えじゃダメだってこと。自分の住んでる辺りにはどんな災害が予想されるか、巻き込まれないためにはどう動けばいいのか、日頃から考えておかなければいけない。

海の近くでも山の中でも、絶対に安全な避難場所なんて無い。





・9月7日 赤とんぼ


赤とんぼが、一匹、二匹、三匹、四匹、……十匹以上飛び回ってる。

そうか、そうだな。もう秋なんだよなぁ。赤とんぼ、八月の半ばあたりから見かけるようになってたけど、九月に入ってから目に見えて増えたような気がする。

朝晩は涼しいし、日中もだいぶ過ごしやすくなってきたし。

このまま涼しくなってくれたらいいなぁ。去年みたいにいつまで経っても暑いのは困る。十月だというのに最高気温三十度を記録した日もあったっけ。あれには魂消た。もう、ずーっと夏が終わらないかと思った。

わりとマジで。

考えてみたら、今年もあと四ヶ月弱で終わりだ。大雨、水害、野菜の不作、デング熱。これ以上嫌なことがなければいいんだけど……。

……
……

あー、ダメだダメだ。俺、なんだかナーバスになってる。ん? そういえば。

「昼飯、食べるの忘れてた!」

思わず声を上げた途端、すーっと俺から遠ざかる赤とんぼたち。何だよ、お前たちを取って食べたりなんかしないぞ。

しかし、思い出すと急に腹が減ってきた。商店街の肉屋さんでコロッケでも買うか。よし、メンチカツも奮発しちゃうぞ。

似合わないナーバス気分なんて、食い気で吹き飛ばしてやる!




※2014年の話です。
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