第317話 猫っ毛タンブルウィード

文字数 631文字

・6月28日 猫っ毛タンブルウィード

今日は午後から二谷さんちのお婆ちゃんに頼まれて、飼い猫のミィちゃんを洗いに行った。
朝、履きだし窓から脱走したミィちゃん、すぐに泥んこになって帰ってきたらしい。

お婆ちゃんは腰と膝が良くないから、猫を洗うのも大変だ。ということで、何でも屋の俺の出番。

猫用の洗い桶を風呂場に設置してぬるま湯を溜めた後、バスタオルとドライヤー、新聞紙を外の廊下にセット。何も知らないミィちゃんを捕まえる。

嫌がるミィちゃんを宥めながら、手早く泥を落としていく。それから薄めた猫用シャンプーで優しく撫で洗い。耳に水が入らないよう、そこは細心の注意。最後のすすぎは丁寧に。

逃げようとするミィちゃんを押さえて、バスタオルでタオルドライ。だいたいの水分が取れたところで、ドライヤーの出番。ミィちゃんはドライヤーは嫌いではないらしく、わりと大人しくしてくれてたので助かった。

俺、汗だく。

中途半端な乾燥でミィちゃんに風邪を引かせるわけにいかないから、送風口を右に左に上下に向けながら、完全に乾くまでドライヤーを掛けまくる。

やっと乾いたミィちゃん、毛皮がぽわぽわ。洗われて気になるのか、執拗にあちこち毛づくろいしている。これに懲りたら、脱走なんかするなよ、ミィちゃん……。

はあやれやれ、とドライヤーを片付けていたら、廊下を吹き抜ける風に、ミィちゃんの毛がタンブルィードのように転がって行った。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、ころころ、ころころころ。

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