第359話 四十年ぶりの寒波

文字数 350文字

夕べはとても寒くて、雨が氷みたいに重くて冷たかった。

犬の散歩を終え、悴む手に傘を握り直して家路につきつつ、雪になってくれたほうがまだマシなくらいだよなぁ、と思った。でも積もると困るなぁ、けどこの勢いだし、朝になったらこの辺には珍しく一面の銀世界なんだろうなぁ、と溜息を吐きつつ、寝た。

朝起きて、拍子抜けした。道は濡れてるけど雪のカケラもない。冬の遅い日の出を迎えれば、抜けるような青空。

そんなわけで、安心して屋上の物干し台に洗濯物を干して仕事に出かけたら、風が強くなってきた。危ない、またパンツが飛びそう。

慌てて戻って階段を駆け上り、風の当たらない場所に干し直そうとパンツに触ったら、凍ってた。Tシャツも、タオルも板みたいになってる。

ほんの一時間ほどの間に……。

四十年ぶりの寒波の影響を、確かに見た。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み