第324話 雨と台風と樋掃除

文字数 863文字

・8月3日 天日干しにしたかった

油断した。

うっすら青空が見えたから、あと一時間くらいはもつと思ったんだ。なのに、いつの間に降りだしたんだろう、この雨。

音も無く、目を凝らさないと見えないくらい──。

あああ、屋上に干してる洗濯物が! 降水確率が高いのは分かってたけど、少しでいいからお日様に当てたかったんだよ。

この季節、洗濯しても洗濯してもおっつかない、Tシャツ、綿パン、ジーンズ、ポロシャツ。下着に靴下、タオルに……あああ!

俺の住処(すみか)、ボロくて小さいとはいえビルはビルだから、屋上に通じる踊り場とか干す場所はあるけど、洗濯物は出来るだけ日に当てたいんだ。その方が気持ちいいし。

だけど、こんな天気の日はやっぱり天日干しに拘るんじゃなかった。

急げ、頑張れ俺! 雨脚が強まる前に!





・8月8日 アスファルトの向こうに焼きそばを幻視

照った後、夕方になって凄い土砂降り。台風の影響なのかな……。

ともあれ、涼しくはなったんで、少し予定を変え、いつもより早くグレートデンの伝さんの散歩に行くことにした。後の仕事の段取りを考えつつ外に出、歩き出してびっくり。

雨雲が去り、再び顔を出した太陽の下。
アスファルトの道のあちこちから、ゆらゆらと立ち上がる大量の湯気。

鉄板で焼きそばを作るのに、麺に差し水をした時みたいだ。こう、じゅわーっと。

う、思い出したら焼きそば食べたくなってきた。冷蔵庫に焼きそば用の麺はあったっけ。って、あー! ソースが切れてるよ。だけど、ちょっと下味を変えて、醤油焼きそばにしてもオツなもの。

よし。晩飯のメニューは決まった。今日の予定も後少し。頑張ろう!





・8月12日 樋掃除が忙しい

台風の後は、樋掃除が忙しい。

凄かったなぁ、台風11号。風は暴風、雨は豪雨。衰えを見せることなく降り続いた雨は、もう二度と止まないんじゃないかと思ったくらい、強烈だった。お陰で、公園に近い辺りを中心に、雨樋が詰まるお宅が続出。

頼まれて、昨日からあちこちの屋根に上って樋掃除をしてるけど、今日は朝からまた大雨で、中断せざるを得なかった。残りは明日かなぁ。
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