第299話 落ち葉掻きとプレデター

文字数 896文字

・12月20日 落ち葉掻きとプレデター

十二月だけど青空眩しい本日火曜、午後一番の仕事は落ち葉掻き。

大量の黄色い葉っぱを落としてくれたこの銀杏、雄株らしく、臭くないのが有難い。今年新調した竹箒も既に手に馴染み、乾燥した落ち葉を集めるのは楽なんだけど……。

かさっ かさっ かさっ
しゅぱっ しゅぱっ しゅぱぱぱっ

……さっきから、落ち葉の上でじゃれ合ってる猫がいるようだ。竹箒の届く範囲内には入って来ないから別に邪魔ではないんだけど、視界の端でいきなり葉っぱが散るから、なんか気になる。

追いかけっこでもしてるのかな、と思って振り返って見るんだけど、何でだろ、そいつらの姿が見えない。

がさがさがさっ
しゃかっ

落ち葉を蹴る、音はすれども姿は見えぬ。ほんにあなたは屁のような……。

てな、ことを考えつつ、竹箒を動かしながら目だけきょろきょろ動かしてたら、見えた。一瞬だけ。

三毛っぽいのと──オレンジの縞?

銀杏の落ち葉たちは、太陽の光をさんさんと受けて眩しく光り輝いているかに見える。その中で埋もれたり、飛び跳ねたりしてるらしい三毛とオレンジ。

……
……

こ、コレが光学迷彩というものか……。





・12月22日 冬至・ジャッカルの日とカボチャの日

今年もこの日が来た、冬至。一年で一番夜が長く、日の短い日。

そして、南瓜。かぼちゃの日。フランスにジャッカルの日があるごとく、日本にはカボチャの日があるのだ。

吉井さんちで南瓜の煮物。
鈴森さんちで南瓜の蒸したの。
道明寺さんちで南瓜きんとん。
小川さんちで南瓜コロッケ。

仕事先に行くたび、頂き物の南瓜料理が増える。……南瓜、嫌いじゃない。ないけど、毎年この日だけは嫌いになりそうになる。いや、有難いんだけどさ。

それにしても、本日最後の依頼(小学生の子供さんの、塾への送り迎え)のために訪れた長船さんちって……。

南瓜のプリン。
南瓜のパイ。
南瓜のパウンドケーキ。
南瓜ゼリー。

うん。長船さんて絶対ハロウィンと混同してると思うよ。長年アメリカに住んで、去年日本に帰ってきたばかりだっていうから、しょうがないか。

ま、確かにね、南瓜なら何でもいいんだよ、冬至だし。無病息災を願ってさ。

一陽来復。
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