第294話 攻めの暑気払い?

文字数 851文字

・5月14日 13日の金曜日

朝、髭を剃るのに100均の手鏡を使っていたら、うっかり手を滑らせて割ってしまった。

出かけようとしたら、スニーカーの紐が切れた。

予備の靴に履き替えて、ドアを閉めて鍵を掛けようと思ったら、その鍵を落とした。付けてあったキーホルダーのマスコットが取れた。

外階段を下りたところで、黒猫(顔見知りの放浪猫、友田さんちのスミちゃん♀五歳)に横切られた。


別に、何も不吉なことは起こらなかった。
かといって、何か縁起の良いことがあった、ということもなかったけど。





・6月7日 攻めの暑気払い?

──もう六月だってのに、暑いんだか寒いんだか分からん。イライラするから、付き合え!

気の短い朴木(ほうのき)の爺さんから、そんな依頼(?)を受けた俺。

現在、ジャージの上にセーターを着て、どてらを着込み、同じ格好をした爺さんとWi○で卓球をしています。

額から飛び散る汗、下着代わりのTシャツもべっとり。爺さんの勝利で何度めかのゲームが終わるも、「もういっちょ!」の掛け声とともにまたもや勝負が始まる。どこの鬼監督ですか、爺さん。

へろへろに疲れた後、温めの番茶で水分を補給しつつ一息つき、締めは半生インスタントの鍋焼きうどん。

二人して、だらだら汗をかきながら啜りこむ熱いうどんは、濃い目に作った出汁がやたらに美味い。

ひーふー、ずるずるずる~……
あー、腹の中からあっちー! 

食後、どてらとセーターを脱いでTシャツ一丁になった時の爽快感ときたら! ……爺さん曰くの<攻めの暑気払い>、ちょっと癖になりそうかも。本人も満足そうだ。「トシだから、一人でこんなことやってて倒れたら困るからな」と笑う。

自覚があるのはいいことだけど、これって年寄りの冷や水? じゃなくて、熱湯風呂かも。

危ない危ない、もう少し一緒にいて、様子を見よう。水分、もっと摂ってもらわないと。

あー、今日の夕方はグレートデンの伝さんと散歩だ。サウナで運動したみたいなもんだから身体がへろへろだけど、仕事はきっちりこなさなきゃ。がんばれ俺。負けるな俺。
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