第331話 何でも屋は身体が資本

文字数 474文字

・9月8日 何でも屋は身体が資本

朝起きたら、夜、冷えた時の用心のために広げてた綿毛布が、パイプベッドの下に落ちてた。
──くしゃみとハナ水が出た。

九月も二週目に入って、さすがにタオルケットだけじゃしのげなくなったな。

冷えた身体を温めるために、手っ取り早くチューブ入りのおろし生姜を使い、蜂蜜生姜湯を作って飲む。おおう、冷え冷え……。

ぶぇっくしょん!

いかん。朝飯しっかり食べて力付けないと、このまま風邪引く。ベーコンエッグの簡単サンド作って、屋上菜園でまだ細々と取れるミニトマトと、カップスープも奮発するか。昨日買ったバナナも食べておこう。

身体が資本の何でも屋稼業、季節の変わり目なんかに負けてられるか!





・9月9日 月の光と葛の花

やけに月の光が明るくて、昨夜はよく眠れなかった。

何度も何度も目が覚めて、そのたびカーテンの隙間から見える夜空を眺めれば、しずかにしずかに空を往く、白い月。

──夢うつつに、鮮やかに立ち上る葛の花の香りを嗅いだ気もする。

そういえば、昨夜は中秋の名月だったか。すっかり忘れてしまっていたけど、あれは月に呼ばれていたのかなぁ……。
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