第319話 俺の一句と雷こわい

文字数 594文字

・7月17日 俺の一句

野田の爺さんの将棋の相手をしてたら、「次の手を考えてる間に、俳句でも短歌でもいいから何か一句詠んでみろ」というので。

 梅雨明けて
  夏の虫鳴く
   スイッチョン
 
と詠んでみた。
──可哀想な子を見るような目で見られた。何でだ。

ちなみに、将棋は俺が勝った。





・7月20日 雷怖い


今日も午後から雷雨の予報。
城山さんちのペンキ塗り、また繰り延べだ。空、真っ黒だもんな。

そんなわけで、遅めの昼飯をゆっくり食べてる俺。レンジでチンした熱々ご飯に、大根おろしとちりめんじゃこ、梅干し少々を混ぜたのをたっぷりかけて、もみ海苔を散らしたものだ。

謎のどんぶりもどきだけど、これがまた美味い。だけど、それだけだとちょっと寂しいんで、ごま油で手早くふわふわにまとめたかき卵も添えた。

シンプルだけど、夏の暑さに参ってる胃にやさしくて食べやすい一品だ。何でも屋は身体が資本、「食欲がない……」なんて言ってられないもんな。

お、雨が振り出した。土砂降りだ。窓の向こうが滝のよう。
雷も。少しずつ近づいてくる。

と。

居候の三毛猫が、ダダッと凄い勢いで風呂場に走りこんだ。
雷が怖いのか。

うん、どうもそうみたいだ。全然出てこない。

雷はまだまだ鳴っている。その音が聞こえなくなるまで、居候は出てこないだろう。普段はふてぶてしいヤツなのになぁ。

……!

うわあ、バリバリバリドーン! だって。どっかに落ちたのかな、雷。
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