第321話 雑草も焦げる真夏の太陽

文字数 837文字

・7月5日 雑草も焦げる真夏の太陽

邪悪な太陽が、地上の全てを灼き尽くそうとしている。

……なんてな。

灼熱の太陽。地上は焦熱地獄。まだ七月なのに、気温が体温より高いってどうなんだよ。こんな日に雑草刈りしてる俺、このままだと火の点いたロウソク人形みたいに融けてしまいそうだ。

休憩。ちょっと休憩。

日陰を見つけて麦藁帽子を脱ぐ。額を流れる汗が凄い。蒸れた髪から湯気が出そうだ。ああ、水。水が欲しい。水分補給しなきゃ、熱射病で倒れてしまう。

でかい水筒を傾けて、半分くらいを一気に飲み干す。今日はいつもの塩麦茶じゃなくて、梅シロップを冷たい水で濃い目に溶いた梅ジュースを入れてきた。うめー! ……駄洒落じゃないぞ。六月に梅仕事を手伝いに行った先で、「夏場、汗かく仕事に最適だから」って沢山分けてくれたんだ。有り難い。

爽やかな酸っぱさと、素直な甘さ。クエン酸が身体に染み渡る。くー! 一気に乾きが引いた。ほっとしながら今度は塩飴を口に放り込み、しばしぼんやりする。

こうやって刈り残しを見ていると、雑草の細い葉を、太陽がじりじり焦がしてるみたいだな……。

さて。汗も引いたし、頭もすっきりしたし。
もうひと頑張りするか!





・7月26日 熱帯夜にはエアコンを

昨夜、娘のののかから電話がかかってきた。

──パパ、ちゃんとエアコン使ってる?

以前、熱中症で倒れた前科があるからな……。いや、あの時はエアコンが壊れてたからさ。

なんて言い訳すると怒られるから、「うん、ちゃんと使ってるよ! 外では帽子も被ってるし!」と、電話の向こうに見えるわけでもないのに、俺は張子の虎みたいにこくこくと頷きながら答えていた。

熱帯夜が訪れるようになってからは、就寝時も軽くエアコンを入れるようにしている。コンクリ打ちっ放しのボロビルの、夏の暑さはハンパないからな。お陰で今朝も目覚めすっきり爽快だ。

さて、今日も一日頑張るか。屋上のプランター菜園の水遣りは、朝一のグレートデンの伝さんの散歩が終わってからにしよう。

まずは、朝飯だ!
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