第572話 アカシアの木の下のメルシーおばさん

文字数 2,486文字

5月の連休に、大きな藤棚のある天久保公園にいったら、藤の花は既に散っていました。遊歩道には、小さな白い花が沢山落ちていました。この花は、ハリエンジュ(針槐樹、ニセアカシア、イヌアカシア、Robinia pseudoacacia)です。ミツバチさんは、ハリエンジュから蜂蜜を集めます。その蜂蜜は、アカシア蜂蜜として売られています。

ニセアカシアは、種小名の pseudoacacia (「pseudo(ブシュウド)=よく似た・偽の・まがい物の acacia=アカシア」)をラテン語から直訳したものです。英名のBlack locust(ブラック・ローカスト)はイナゴマメ(Locust bean)に似ているという意味です。イギリスでは False Acacia(偽アカシア)、アメリカでは Locust (ローカス)とも呼ばれます。

日本に1873年に輸入されたハリエンジュは、西洋風でエキゾチックな植物と見なされました。北原白秋の童謡「この道」(山田耕作作曲)の歌詞「この道はいつか来た道、ああ、そうだよ、あかしやの花が咲いてる」にあるアカシアは、ハリエンジュです。

最近、ハリエンジュは、外来生物法で要注意外来生物(日本の侵略的外来種ワースト100)に指定されました。
2024年5月現在、環境省巨樹データベースには、ハリエンジュの名で4件、ニセアカシアの名で10件の巨木が登録されています。幹周が1位が500cm、2位は375㎝、3位が370㎝、4位と5位が360㎝です。1位を別格とすれば、2位から5位は、誤差の範囲で並んでいます。

なお、ハリエンジュは、渡来後150年しかたっていませんので、1位の幹周500cmは眉唾に見えます。環境省巨樹データベースには、1位の木の所在地は青森県五所川原市で、写真はなく、確認年月日は未記載でした。WEBで、五所川原市で検索したのですが、確認できませんでした。

茨城県内では、偕楽園の幹周が、360cmと300cmのハリエンジュ2本が巨樹データベースに登録されています。偕楽園には、3本のハリエンジュの大木が並んでいます。巨樹データベースの基準は、幹周が300㎝以上なので、300cm未満の1本は登録されませんでした。

1876年に偕楽園内には勧業試験場が開設され、政府から輸入動植物の配布を受け、その地方に適するか否かを調査しています。

その一環として、1877年頃、アメリカから渡来したハリエンジュが植樹されたようです。

1873年に、公園緑化樹等としてハリエンジュが導入されたという説もありますが、最初の木が同定されていないので、偕楽園が、最初の可能性もあります。

1924年には、日本最大(幹周囲2m、高さ27m)と紹介されています。

1975年の説明版には、「樹齢100年、高さ30m、現在、日本国内では最大」と書かれていました。

1997年に、折損のおそれがあるため、幹の途中で切除されています。

2023年12月13日に、倒木の危険が出てきたため偕楽園の3本のハリエンジュは全て、伐採されてしまいました。

茨城県内には、ハリエンジュの巨木がなくなりました。

「ニセ」がつかないアカシアは、マメ科ネムノキ亜科アカシア属に分類される植物です。アカシア樹脂(アラビアゴム)は、お菓子やアイスクリームなどの食品の原料として使われています。

アカシアが、アフリカからヨーロッパに持ち込まれたときに「ミモザ(オジギソウ)に似たアカシア」ということで「ミモザアカシア」と呼ばれ、現在では、アカシアを「ミモザ、ハナアカシア」と呼びます。とはいえ、名前の元のオジギソウも、ヨーロッパではミモザと呼ばれますから、名称が混乱しています。

1986 年までは アカシア属には、1,352 種が含まれると考えられていました。2000 年代初頭には、現状の属は単系統ではなく、分岐した系統を別の属に分類する必要があることがわかりました。オーストラリア、ニューギニア、インドネシアに自生する900種を超える種からなる系統(Racosperma)は、ヨーロッパのミモザを含むはるかに小さなアフリカ系統のグループとは関係がないことがわかりました。オーストラリアのメルボルンで開催された2011 年の国際植物会議では、900種を超える種からなる系統に、Racospermaではなく、Acaciaという名前を使用する決定がなされました。つまり、1,084 種をアカシアと呼び、ヨーロッパのミモザを含む268種は、アカシアではなくなりました。しかし、アフリカの人は、この決定に反対しています。

ハリエンジュは、花畑近隣公園にもあるので、メルシーおばさんは、天久保公園の後に、花畑近隣公園にもいってきました。

写真の説明では、ハリエンジュをアカシアと呼んでいます。


写真1 天久保公園の遊歩道には、アカシアの花が落ちていました。


写真2 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。



写真3 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真4 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真5 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真6 こちらの遊歩道にも、アカシアの花が落ちています。


写真7 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真8 上を見上げると、アカシアの花は咲いていました。


写真9 花畑近隣公園に来たメルシーおばさん。


写真10 アカシアの木を探しているメルシーおばさん。


写真11 中央の高い木がアカシアです。


写真12 アカシアの花です。


写真13 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真14 この林は、アカシアとヒノキが混じっています。右のリボンをつけた木は、伐採予定の木です。既に、伐採された切り株も見えます。


写真15 最近伐採されたアカシアの切り株の前のメルシーおばさん。


写真16 公園の隣には、犬の美容室がありました。足跡マークの看板が見えます。


写真17 アカシアの落ちた花の上のメルシーおばさん。


写真18 腹筋ストレッチベンチがありました。


写真19 駐車場に向かいます。
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