第507話 メルシーおばさん、大杉神社で年越の大祓をする

文字数 1,914文字

大杉神社(おおすぎじんじゃ)は、茨城県稲敷市阿波(あば)にある神社です。関東や東北地方にある約670社の大杉神社の総本社です。あんばさまの愛称で親しまれていて、年間50万人の参拝者がいます。

年越の大祓は、12月31日に、1年の穢れをお祓いする行事です。この時に、6月30日と同じように、茅の輪を設置する神社もあります。大杉神社にも、茅の輪があるというので、メルシーおばさんは、お祓いをしてきました。

6月30日のお祓いは、「第416話 メルシーおばさんの茅の輪くぐり」で、書きました。輪くぐりの作法は、そちらを参照してください。

大杉神社は、767年に創建されたと伝えられています。この頃、隣接する霞ヶ浦は、海でした。航海の灯台がわりの巨大な杉は「あんばさま」と呼ばれていましたが、火災によって消失して、名前だけが残りました。武蔵坊弁慶と同じ、源義経の郎党であった常陸坊海尊(ひたちぼう かいそん)は数々の奇跡を起こし、大杉神社の神のお使いと見なされるようになります。海尊は、「ねがい天狗」の鼻高天狗と「かない天狗」の烏天狗として祀られています。その結果、大杉神社は日本で唯一の「夢むすび大明神」になりました。

大杉神社は、江戸時代になって、天海(てんかい、1536年-1643年)上人により、有名になりました。天海上人は、江戸時代初期の天台宗の大僧正で、徳川家康の側近として、江戸幕府初期の朝廷政策・宗教政策に深く関与しました。 徳川家康の葬儀を取り仕切り、家康の神号を「東照大権現」に決めました。天海上人は、江戸に、徳川家の菩提寺の寛永寺、日光の輪王寺に東照宮を開きました。天海上人は、別当安穏寺(現大杉神社)を日光山輪王寺の直兼帯寺院にしました。大杉神社は、日光東照宮に似ているので、「茨城の日光東照宮」の異名があり、豪華絢爛です。

イタリアのマルコ・ポーロさん(1254年-1324年)は、「世界の記述(東方見聞録)」を出版し、その中で、ジパング(Cipangu、Zipangu、日本)は、「莫大な金を産出し、宮殿や民家は黄金でできている。床には分厚い黄金が敷かれている。」と書きました。

この本を読んで、コロンブスさんは、ジパングを探すために航海に出て、アメリカ大陸を発見しています。コロンブスさんの想像した、ジパングは、大杉神社のようなイメージだったかもしれませんね。

大杉神社には主祭神の大物主大神(倭大物主櫛甕玉大神)のほかにも多数の神様が配祀されていますが、「にっこり大国」と呼ばれる大国神社は特に有名です。「にっこり大国」の由来は、拝む人によってその表情がかわると言われる大国様の像です。顔を崩すほど笑って見えれば、巨万の富を授けてくれるという言い伝えがあります。ご本尊の大国様の他に、参道にも、大国様の石像があります。大杉神社で「悪いもの」を落とし、それから大黒神社で金運財運の「御利益」に預かるというセットの参拝に人気があります。

注:大国神社には、大黒神社との表記もありまが、ここでは、大杉神社のHPの表記に従います。



写真1 一の鳥居脇の「ねがい天狗」の鼻高天狗の前のメルシーおばさん。


写真2 「かない天狗」の烏天狗です。天狗の位置には、普通は狛犬がいます。


写真3 二の鳥居です。


写真4 にっこり大国様の隣のメルシーおばさん。


写真5 手水の前のメルシーおばさん。


写真6 茅の輪が見えてきました。


写真7 茅の輪の前のメルシーおばさん。


写真8 ママに抱っこしてもらいます。


写真9 ママと一緒に茅の輪を3回くぐっているメルシーおばさん。


写真10 拝殿(社殿の一部)です。社殿は本殿、幣殿、拝殿を繋げた茨城県内最大の木造社殿で、1816年に完成しています。あんば日光の異名を持ちます。


写真11 拝殿の前のメルシーおばさん。


写真12 1747年に焼失し、2010年に再建された麒麟門です。


写真13 麒麟門の彫刻です。


写真14 禹歩(うほ)の説明です。お守りを持って、赤い数字の順番に足を入れます。禹歩は、古代中国の禹(う)王を起源とする特殊な歩行法です。


写真15 禹歩をする兎歩斎場です。数字の書かれた足形があります。これは、メルシーおばさんには、難易度が高すぎますね。


写真16 灯篭の前に進んできました。この先にお手洗いがあります。


写真17 お手洗いの黄金の壁に、鳳凰が描かれています。まるで、黄金の国ジパングみたいです。


写真18 お手洗いの黄金の壁に描かれたライオンです。


写真19 大国神社の前のメルシーおばさん。これから駐車場まで、歩いてもどります。


写真20 境内の端に近づいてきました。


写真21 駐車場はすぐそこです。
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