第264話 メルシーおばさんのパストラーレ

文字数 1,290文字

パストラーレ(田園交響曲)は、ベートーベンが、1808年に作曲した交響曲です。正式には、交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園(Pastorale)あるいは田舎での生活の思い出(音画よりも感情の表現)」といいます。ベートーベンは、1楽章「田舎に到着した時に人の心に目覚める愉快で明るい感情」、第2楽章「小川のほとりの情景」、第3楽章「田舎の人々の楽しい集い」といったように、5楽章全てに、田舎での生活の思い出の内容の具体的なタイトルをつけています。

ここまで書けば、勘のよい読者の方はもうお気づきだと思います。メルシーおばさんの日記は、写真日記ですから、写真になる「小川のほとりの情景」を見つけて、そこで、写真を撮れば、メルシーおばさんのパストラーレが出来上がります。「田舎に到着した時に人の心に目覚める愉快で明るい感情」では、写真になりませんからね。

とはいえ、街中で小川を見つけるのは至難の技です。洞峰公園をお散歩していたら、組み上げた地下水を池に流し込む50mくらいの小川を見つけました。今回はその小川のほとりで撮影した写真です。小川は、池に沿って流れて最後に池に合流します。小川を見つけたことまでは順調でしたが、小川は、陸の方からしか撮影できません。小川の上には木が茂っていますが、池の上の空は明るくて、明暗の差が大きいです。撮影は難航した割には、あまり良い写真は撮れませんでした。

小川のほとりは、涼しくて、蝶々さんが飛んできましたが、蝶々さんもうまく撮影できませんでした。ディズニーの映画では、蝶々さんが飛んでくると、メルシーおばさんのお花、ではなく、お鼻の上に止まってくれるお約束なのですが、現実は、なかなか映画のようにはいきませんからね。

なお、最近の研究では、「小川のほとりの情景」のキーワードは、ベートーベンのオリジナルではなく、ドイツの作曲家ユスティン・ハインリヒ・クネヒトが、1783 年に作曲した「自然の音楽による描写、あるいは大交響曲」という5楽章の交響曲の第1楽章のタイトルの転用だそうです。クネヒトの第1楽章のタイトルが、ベートーベンの第1、第2、第3楽章のタイトルに対応しているそうです。

パストラーレについて言えば、クネヒト以外に、イギリスのレイフ・ヴォーン・ウィリアムズが、1921年に田園交響曲(A Pastoral Symphony )交響曲第3番を作曲しています。こちらは、友人バターワースを含む第一次世界大戦の犠牲者へのエレジーで、自然描写音楽ではありません。ソプラノの独唱が入る最終第4楽章がとても素敵です。機会があったら聞いてみてください。


写真1 小川のほとりにやってきたメルシーおばさん。


写真2 小川のほとりでちょっとリラックスしているメルシーおばさん。


写真3 小川のほとりですっかりリラックスしているメルシーおばさん。


写真4 小川のほとりにやってきたクロアゲハさんの失敗写真。


写真5 クロアゲハさんがお鼻に止まるのを待っているメルシーおばさん。


写真6 小川のほとりの外れのメルシーおばさん。パパはここの方が写真を撮りやすいといっています。
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