第79話 メルシーおばさんのピアニスト

文字数 764文字

発端は、メルシーおばさんが、「子犬のワルツ」を弾いている写真(第46話に掲載)をママが気に入ってくれたことです。そこまでは、良かったんですが、そのうち、ママは、「子犬のワルツ」の写真は、メルシーおばさんの後ろ姿で、顔が写っていないのは、よくない、撮り直すべきだと言い出したんです。

メルシーおばさんは、いつも、お食事の時に、美味しい食べ物のお裾分けを頂いていますから、少しくらいは、ピアノを弾いてあげてもいいなと思ったんです。そこで、メルシーおばさんが、ピアニストになって撮影会が始まりました。メルシーおばさんは、一生懸命、ピアノを弾く、努力をしたんですが、「あら、メルちゃんの顔が入っていないわ。こっち向いて」とか、ピアノ以外の注文が多くて、メルシーおばさんは、気が散って、うまくピアノが弾けません。だんだん疲れてきました。パパは、メルシーおばさんの顔に、もうやめたいよと書いてあることに気がついて、可愛い表情の写真はもう撮れないので、ここまでにしようということで、撮影会は終了しました。

撮影会が終わった後で、ママが言いました。「一番うまく撮れた写真を、子犬のワルツの写真の後に入れておいて」って。ああ、ママは、メルシーおばさんの日記をきちんと読んでいないのです。だって、子犬のワルツの写真を載せた回の日記のタイトルは、「ピアノの椅子は天国だ」です。椅子のお話なんです。椅子の写っていない写真を載せる訳にはいきません。

そこで、今回は、ピアニストの日記を書きました。


写真1 メルシーおばさんは、ピアノよりは椅子が好きです。


写真2 真剣な表情でピアノを弾き始めるメルシーおばさん。


写真3 疑問が残らないように、スコアをよく読みます。


写真4 はい。そっちを向きますね。


写真5 最後の余韻を確認しています。うまく、弾けたかしら。



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