第430話 メルシーおばさん、白糸の滝を見る

文字数 1,546文字

田貫湖の周囲の観光地で、一番近くて、一番知名度の高い白糸の滝に行ってみました。

富士宮市にある白糸の滝は、1990年の日本の滝百選にも選ばれている名勝です。

白糸の滝という名前の滝は、全国にあり、日本の滝百選でも、山形県戸沢村の落差120mの白糸の滝が選ばれています。「第74話 メルシーおばさん軽井沢に現る」では、軽井沢の白糸の滝を紹介しました。

さて、富士宮市の白糸の滝には、際立った特徴があります。

第1に、河川が、分流して、すぐ交流する、つまりパイパス河川が自然にできることは、稀にしか起こりません。白糸の滝のある柴川は、白糸の滝の上流で分流して、白糸の滝の下流で、合流しています。つまり、白糸の滝の部分の柴川は、2本の平行な河川に分れています。白糸の滝のないもう一つの柴川には、音止の滝があります。

第2に、柴川の水は、白糸の滝の水源の一部にすぎません。白糸の滝は、上部が透水性の新富士火山層と下部が不透水性の古富士火山層でできた絶壁にあります。富士山の雪解け水が、高さ20m・幅150mのこの湾曲した絶壁の2つ地層の間から、数百の白糸の滝になって流れ落ちています。つまり、白糸の滝の主要な水源は柴川の河川水ではなく、地下水です。

音止の滝は、25mの高さがあります。

「曽我兄弟の仇討ち」とは、父を殺された曽我十郎祐成(そが・じゅうろうすけなり)と五郎時致(ごろうときむね)の兄弟が、1193年5月28日に、仇(かたき)をとった話です。兄弟は、1180年の源頼朝の挙兵直後に源氏方に敗れた伊東祐親(いとう・すけちか)の孫で、仇は、頼朝の側近・工藤祐経(くどう・すけつね)でした。つまり、「曽我兄弟の仇討ち」には、鎌倉政権の則近へのクーデタでもあり、兄弟は仇討ち後、殺害されています。

「曽我兄弟の仇討ち」は、日本三大仇討ちに数えられ、武士社会では仇討ちの模範とされました。歌舞伎の演目でもあり、戦前までは、人気がありました。

仇討ちは、源頼朝が富士の裾野(富士宮市)で行った狩りの最中に起こります。兄弟が、仇討ちの相談をしている時に、音止の滝では、音が一瞬止んだという伝説があります。

白糸の滝では、滝見橋を下流に移設する工事が行われました。下流に移設した滝見橋は2014年にグッドデザイン賞を、橋周辺の工事は2016年に「土木学会デザイン賞最優秀賞」を受賞しています。





写真1 白糸の滝に着きました、柴川にかかっている橋が見えます。


写真2 橋に載ってみたメルシーおばさん。吊り橋でないので、快適です。


写真3 橋からは、柴川が見えましたが、滝は見えませんでした。


写真4 道を、橋の下流に進むと音止の滝が見えました。


写真5 音止の滝の前のメルシーおばさん、展望台が工事中で、これしか見えませんでした。


写真6 すぐ隣は、白糸の滝です。手前に見える橋が滝見橋です。


写真7 滝に降りる階段の途中のメルシーおばさん。


写真8 滝見橋の袂のメルシーおばさん。


写真9 左端に柴川が水源の水流(滝)があり、その右には、地下水が流出する白糸の水流(滝)が見えます。


写真10 水流の弱いところは一見すると滝には見えません。


写真11 ここでは、素敵な白糸のカーテンが見られます。


写真12 ここはもうちょっとダイナミックな流れです。


写真13 左端の柴川の本流に近づくと地下水の流出量も増えていきます。


写真14 一番大きな柴川の水流の前のメルシーおばさん。


写真15 最後に、展望台から滝をもう一度だけ見て、滝にお別れします。


写真16 おまけ。付近の小田貫湿原のメルシーおばさん。メルシーおばさんは、初めて、自然の湿原に行きました。


写真17 おまけ。付近の猪之頭公園のメルシーおばさん。養鱒場がある公園で、イノシシはいませんでした。
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