第24話 メルシーおばさんの幽霊写真

文字数 769文字

パパが退職して時間ができた(要するに暇になったってことね)ので、カメラで、色々なものを写しています。メルシーおばさんの写真も撮ってくれて、上手に撮ってくだされば嬉しいんですけど、時々突然トンデモないことを言い出すんです。

今回は、「そうだ、暑い夏だから、幽霊写真をとろう」って言いだしたんです。幽霊写真で思い出すのは、念写です。念写って知ってますか。カメラのレンズにキャップを付けたまま、シャッターを押します。そうすると、何が写るか、わかりますよね。真っ黒な何も写っていない写真が出来るだけです。でも、シャッターを押すときに、一生懸命頭の中で何かを念じるんです。念じたままシャッターを押すと、フィルムには、念じたものが写ルンです。え、それって、レンズ付きフィルムではなくて、オカルトではないですかって。ハイ、その通りです。昔、東京大学の偉い先生で、念写の研究をして大学を追放された方もいらっしゃいました。なので、メルシーおばさんは、パパも、いよいよオカルトになってしまったのかと、最初は心配しました。でも、パパの説明を聞いたら、最近のデジカメには2重露出っていう機能があって、これを使えば、幽霊風の写真が撮れるということでした。とりあえず、パパの頭がまだおかしくなっていなくてよかったです。

まあ、あんまり楽しくはないけれども、オカルトショックにならずに済んだので、幽霊写真のモデルになってあげることにしました。メルシーおばさんはこういう時には優しいんです。

写真1が、こうしてできたメルシーおばさんの幽霊写真です。え、夏なのに、ファンヒーターが写っている点が変ですって。そうなんです。幽霊写真にファンヒータを入れたら、暑くって、涼しいはずの写真が台無しなんですが、パパの目はその点は見落としているみたいです。


写真1 メルシーおばさんの幽霊写真

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