第41話 さんぽひろばのメルシーおばさん

文字数 909文字

パパが、隣の土浦市にある「さんぽひろば」に行きたいと言い出しました。なんでも「グッドデザイン賞」をとった公園だそうです。メルシーおばさんは、美味しい食べ物と匂いにしか興味がありませんので、デザインはどうでもいいんです。でも、パパが1人で行くのはつまらないみたいだったので、お付き合いしてあげることにしました。メルシーおばさんは優しい上に、いつもは時間を持て余していますから、こうした場合には、大抵、パパの無理を聞いてあげるんです。

「さんぽひろば」というのは、「変な公園」です。「変な公園」というと、どんな公園だと想像しますか。幽霊が出そうな井戸があるとか、何回数えても数が合わない木が植えられているとか、犬が公園に入って、出てきた時には猫になっていたとか、そんなことを想像しますか。そのレベルでは、まだまだです。他に何を思いつきますか。

ヒントは、今の例の中では、犬猫変身が一番近いですよ。そんな公園があるわけがないですって。ええ、まさに、ある訳のない公園なのです。

メルシーおばさんが、工事現場に迷い込んでしまったとします。道に迷いながら、やっとのことで、工事現場の外に出ることに成功します。そして、ホッとして、出てきた工事現場を見ると、そこには、公園の看板がついていて、「さんぽひろば」って書いてありました。それって冗談がすぎるっておっしゃいました?でも、冗談ではありません。さんぽひろばは、元は、大型複合施設の建設途中で事業頓挫した低未利用地です。つまり、途中で放棄された工事現場なのです。この工事現場に、ペンキで色を塗って、ロープを張って、旗をつけて、「さんぽひろば」という名前の公園に生まれ変わらせたのです。そのアイデアがグッドデザインになったようです。残念ながら、メルシーおばさんが行った時には、ロープと旗はなくなっていました。

というわけで、「さんぽひろば」は、どことなく、工事現場みたいで、メルシーおばさんには、居心地が、よくありませんでした。


写真1 工事現場の雰囲気に不安そうなメルシーおばさん。


写真2 木が生えていないので、つまらなそうなメルシーおばさん。


写真3 「さんぽひろば」から出て、ホッとしたわ。

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