第384話 メルシーおばさんのいとし藤(後編)

文字数 1,351文字

今回の内容は「つくば市周辺の藤巡り」ですが、タイトルは、「藤巡りで」はなく、「いとし藤(後編)」にしました。

つくば市周辺といっても、取り上げるのは土浦市の公園だけです。土浦市の公園の藤棚を、ここでは、公園毎に端から仮の番号を付けて区別します。

乙戸沼公園(2個)、乙戸沼水生植物園(1個)、亀城公園(4個)、霞ヶ浦総合公園(5個)の藤棚を見てきました。掲載した藤棚は11個です。乙戸公園の1号藤棚は、花が殆どついていませんので、省略しました。

今回は、藤娘の話を書きます。

興味の無い方は、以下の説明は読み飛ばして、写真3にお進みください。

藤娘

「藤娘」は1826年、江戸中村座で二代目関三十郎さんが初演した五変化の舞踊です。藤の花のようにきれいで愛想良ければ、良縁を得られるということで、当時人気があった大津絵の「かつぎ娘(藤娘)」を題材にして、絵から出て来た娘が踊るストリーです。「可へす可へす余波大津絵」(かえすがえすおなごりおおつえ)が本名題です。長唄、日本舞踊としても扱われます。最近の歌舞伎の「藤娘」は、大津絵を離れて、娘姿で踊る藤の精という改訂された演出になっています。

写真1は、江戸時代の大津絵の「藤娘」です。

写真2は、1826年に、中村座で二代目関三十郎さんが藤乙女役を演じた「藤娘」の初演の浮世絵です。初代歌川国貞の版画です。スマホがなかった200年も前に、初演の画像が残っていることに驚かされます。

藤娘の中には、次の歌詞が出てきます。

「染めてうれしき由縁の色の いとしとかいて 藤の花」

由縁の色は、紫色です。紫色は、高貴な色として、当時は大変人気があり、江戸を代表する色でした。「いとしとかいて 藤の花」は、前回説明しました。

「藤娘」は歌舞伎の視覚的クライマックスです。藤乙女は着物を 4 回替え(5変化)、藤の花の豪華な背景の中で踊ります。衣装は、ステージの木の幹の後ろで素早く変わります。


写真1 藤娘(大津絵、江戸時代) クリーブランド美術館
Wisteria Maiden (Fuji Musume)1615–99 The Cleveland Museum of Art
https://www.clevelandart.org/art/1963.96


写真2 藤娘
五渡亭国貞『(藤娘)』,松村辰右衛門. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1312694 (参照 2023-04-26)


写真3 乙戸沼公園の2号藤棚です。暗くて良く見えません。


写真4 反対側から見た2号藤棚です。これでも良く見えません。(乙戸沼公園)


写真5 乙戸沼水生植物園の1号藤棚です。


写真6 亀城公園の1号藤棚です。


写真7 亀城公園の2号藤棚です。


写真8 亀城公園の3号藤棚です。


写真9 亀城公園の4号藤棚です。亀城公園では、4号が一番よく咲いていました。


写真10 霞ヶ浦総合公園の1号藤棚です。藤色と白色の2本の木があります。


写真11 霞ヶ浦総合公園の2号藤棚です。右後方に3号藤棚も見えます。


写真12 霞ヶ浦総合公園の3号藤棚です。


写真13 霞ヶ浦総合公園の4号藤棚です。



写真14 霞ヶ浦総合公園の5号藤棚です。霞ヶ浦総合公園の藤は、どれも良く咲いていました。
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