第1話 はじめてのご挨拶

文字数 1,282文字

こんにちは、わたしの名前はメルシー。チワワっていう種類のめす犬です。小さいので後ろから見ると、ねこに見えるらしく、亡くなったパパのお母さんに最初にお会いしたときは、ねこと間違えられました。

ああ、そうです。パパとママっていうのは人間の飼い主のことです。小さいうちに今のお家に来たので、本当の犬のパパとママのことはよくわかりません。でも、血統書っていう記録があるので、それを見ると、犬のパパとママが誰だったかがわかるみたいです。わたしは、血統書が読めませんが、聞くところによると、わたしのおじいさんはアメリカに住んでいて、わたしのお父さんの代に、日本に来たようです。チワワっていうくらいですから、ずっと前のご先祖様は、メキシコのチワワ州ってところにいたみたいですが、よくわかりません。まあ、今風にいえば、わたしは日本への移民2世ってわけです。

昔、夏目漱石っていう偉い先生が、「猫の本」を出して、ベストセラーになったようですが、わたしの犬の日記もちょっとは読んでいただけるとうれしいです。

あ、そういえば、「猫の本」のことは知っている人も多いと思いますが、漱石って先生は、他にもたくさん本をお書きになっていて、「三四郎」っていう本も有名です。「猫の本」より、好きな人が多いんじゃないかな。でも、あまり知られていないことに、主人公の三四郎が「三四郎は生まれてから今日に至るまで西洋人というものを五、六人しか見たことがない」っていってるんですね。すごいですね。わたしが三四郎さんに会ったら、「あ、西洋犬だ」って、大感激されそうです。

わたしの名前は、メルシーっていうんですが、いつもは「メルちゃん」って、呼ばれています。お行儀が悪い犬ですと飼い主から叱りつけられるときに、呼び捨てにされることがあります。でも、わたしは、お行儀が良くて、頭もよいので、一度も叱られたことはありません。ですので、呼ばれるときは、いつも「メルちゃん」です。

メルシーって呼ばれたことは、今までに2回だけあります。1回は獣医の先生に診てもらった時です。獣医の先生のところに行くときに使う診察手帳にも「メルシー」って書いてあります。もう一度は、ママが自動車を買ったときです。トヨタの販売店の人が、新車の前で記念写真をとって、額に入れてくださいました。その時に、わたしも写っていて、メルシーって書いてありました。わたしはお行儀がいいので、自動車にも乗せてもらえるんです。

なので、この日記にも「メルちゃん」の写真をのせておきます。

はじめての読者へ:

メルシーおばさんの日記も3年を過ぎました。

最初の頃は、メルシーおばさんの写真だけでしたが、途中から、それでは、読者がつまらないだろうと考えて、読者がメルシーおばさんと一緒にお散歩している気分になるように、周囲の風景の写真を追加しています。

このため日記の雰囲気は、最初の頃と後半で随分と異なっています。

第1話から読むだけでなく、途中をスキップして、後半のお話も読んでいただけるとうれしいです。


写真1 はじめまして、メルシーです。
 

写真2 三つ指ついて、ご挨拶。


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