第265話 メルシーおばさんの首輪紛失事件

文字数 2,723文字

8月の終わりに、メルシー家は、久しぶりに那須にお泊り旅行にいってきました。

これから、その旅行のお話をしようと思いますが、なんと言っても、今回の最大の話題は、メルシーおばさんの首輪紛失事件なので、今回は、そのお話をします。

「首輪紛失事件」では、冴えないタイトルなので、本当は「メルシーおばさんの首飾り紛失事件」にしたいところです。

1785年、革命前夜のフランスで詐欺の首飾り事件が起こります。これは、先王ルイ15世の注文を受け、大小540個のダイヤモンドからなる160万リーブルの首飾りを作製していた宝石商シャルル・ベーマーが、先王が亡くなって売れなくなった首飾りをマリーアントワネットへ転売を図ったのがきっかけです。詐欺事件は陰謀が陰謀をよぶ展開になり、三銃士、ルパン、ベルサイユのばら、ディズニー映画など多数の作品のネタになりました。

マリーアントワネットは、首飾りがなくても生活に支障はありませんが、メルシーおばさんは首輪がないとリードがつけられなくなりますので、ドッグラン以外では、お散歩できなくなってしまいます。首輪のタイトルは首飾りより冴えませんが、大事なテーマを扱っていますのでお付き合い下さい。

今回は、推理小説風に写真に文章を散りばめてアリバイをトレースしますね。


<メルシーおばさんの首輪紛失事件のアリバイ>

7時:メルシーおばさんは、ホテルのドッグランで、リードを外して、朝のお散歩をしました。

8時:メルルシーおばさんは、ホテルのレストランで、カートに乗って、パパとママのテーブルの隣で、ヨーグルトの朝食をとりました。カートには、犬が飛び出さないように、リードの代わりに、首輪を止めておく、フックがついていて、お食事中はメルシーおばさんは、フックを使いました。


写真1 8:00 レストランのカートの上のメルシーおばさん。首輪にカートのフックがついています。

8時30分:ホテルのお部屋に戻って、自動車に荷物を積みます。


写真2 8:30 お部屋で、自動車に荷物を積むのを手伝っているメルシーおばさん。



9時:荷物を積み終わったので、鍵をフロントに戻します。自動車で、南ヶ丘牧場に向けて出発します。

9時25分:南ヶ丘牧場に到着しました。雨が降り出したので、メルシーおばさんは、リードではなく、抱っこ紐を使うことにします。ママの抱っこ紐に乗って、ママと同じ傘に入って、メルシーおばさんは、南ヶ丘牧場の見学を始めます。


写真3 9:25 南ヶ丘牧場の正面ゲートです。

9時35分:ミルク茶屋に到着しました。お目当ては、犬も食べられる砂糖の入っていない成分無添加のソフトクリームです。あれ、犬用ソフトクリームが自動発券機のメニューにありません。窓口のお兄さんに聞いたところ、犬用ソフトクリームは品切れで、今日は販売していないそうです。がっかりです。

9時40分:抱っこ紐に乗って、牧場内をお散歩します。雨が上がってきました。羊さんと牛さんの絵の付いた南ヶ丘牧場と書かれた記念撮影用のプレートを見つけたので、メルシーおばさんは、ここで、抱っこ紐に乗ったまま記念撮影をしました。



写真4 9:40 記念撮影用のプレートのメルシーおばさん。

9時45分:南ヶ丘牧場のお散歩を続け、放牧場まで来ました。雨で地面はあまり濡れていません。


写真5 9時45分 南ヶ丘牧場の放牧場の牛さんたち。広いですね。牛さんが小さく見えます。

9時50分:一周して、ミルク茶屋のところに戻ってきました。ここには、ベンチがあります。雨が上がったので、ベンチのところで、抱っこ紐を外して、リードに付け替えて、メルシーおばさんは、自分の足でお散歩することになりました。

ママは、メルシーおばさんが落下しないように注意しながら、抱っこ紐を外します。

メルシーおばさんは、抱っこ紐が外れたので、次はリードを付けて、地面に降りてお散歩する番です。

ここで、ママが、声を上げます。「首輪がないわ」

首輪紛失事件が発生しました。

メルシーおばさんの首の周りには、首輪が見当たりません。

これでは、リードを付けてお散歩はできません。

南ヶ丘牧場の見学は中止です。こうして、南ヶ丘牧場のメルシーおばさんの写真は、写真4の1枚だけになってしまいました。

抱っこ紐なしで、抱っこしているのは大変なので、メルシーおばさんとパパは自動車に戻ります。


ママは、牧場売店でお買い物をすることになり、メルシーおばさんとパパは、自動車の中で、ママのお買い物が終わるのを待つことになりました。


写真6 9:55 自動車でママのお買い物が終わるのを待っているメルシーおばさん。

10時:ママがお買い物を終えて、自動車に戻ってきました。

ママは、首輪をどこで紛失したのか考えています。ママは言います。「そうだ。朝食の後で、首輪からカートのフックを外すときに、一緒に首輪もはずれたのかもしれないわ」

ママは、ホテルに電話をかけます。

「もしもし、今朝までお世話になったメルシー家です。犬の首輪がなくなって、探しています。朝食の時に、レストランでお借りしたカートの中に首輪が落ちていないか、調べていただけませんか」

「何色の首輪ですか」

「青色です」

「それでは、調べて見ますから、ちょっとお待ちください」

しばらくして、ホテルの人から返事がありました。

「カートの中に首輪は落ちていませんでした」

「ありがうございます」

ママは、電話を切りました。

首輪がなくては、メルシーおばさんは、お散歩ができないので、犬も抱っこすれば見学できるというダイアナガーデンエンジェル美術館に向かうことにしました。

<メルシーおばさんの読者への挑戦状>

メルシーおばさんは首輪をどこで、紛失したのでしょうか。

名探偵諸君の健闘を期待します。

わかりましたか?


写真7 牧場にもたくさんいたトンボさんの写真です。答えがすぐに見えない栞(しおり)の代わりの写真です。

<メルシーおばさんの首輪紛失事件の解決編>

10時20分 メルシーおばさんは、自動車で、ダイアナガーデンエンジェル美術館に着きました。



写真8 10:20 自動車でダイアナガーデンエンジェル美術館についたメルシーおばさん。

写真8を見ればわかりますよね。メルシーおばさんの首輪は、メルシーおばさんのモフモフの毛の間に隠れて、メルシーおばさんの首の周りにあります。写真8では、フック用の銀色の留め金だけが見えます。

メルシーおばさんの首の周りの毛があまりにモフモフだったので、ママは、慌てて、首輪がなくなったと勘違いしたのでした。首輪は、ずっと、メルシーおばさんの首の周りにあったのです。

こうして、メルシーおばさんの首輪紛失事件は無事に解決しました。
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