第95話  メルシーおばさんはエビが好き?

文字数 2,237文字

「第11話 お食事とランチョンマット」で、メルシーおばさんはエビのしっぽが好きだって、お話をしました。エビが、一匹で丸々でない訳は、メルシーおばさんが、ダイエットしているからです。もちろん、ドッグフードを止めて、エビだけを食べれば、ダイエットには問題はありません。しかし、ドッグフードには、健康のため、おやつなど、ドッグフード以外の食べ物は、全体の3割以下に押さえて下さいってかいてあります。ですから、健康を考えれば、エビはシッポだけになってしまいます。

ところで、エビを食べる犬って、不自然だとおもいませんか。犬は、狼の仲間です。「赤ずきんちゃん」にも、「ピーターと狼」にも悪い狼が出てきます、狼はエビがすきだなんて話は、聞いたことがありません。赤ずきんちゃんが、「狼さん、エビをあげますから、悪いことをしないでくださいね」といっても、狼が納得するとは思えません。

実は、メルシーおばさんがエビが好きなったことには、深い訳があるんです。
メルシーおばさんには、エビより好きな食べものがあります。

1度目は、いつものお散歩公園でお散歩していた時のことです。
公園に誰かが、フライドチキンの食べ残しの骨をすてていったんです。
メルシーおばさんは、目ざとく、骨を見つけ、くらいつきました。
パパが、それを見つけて、眉をひそめました。
「だめ。メルちゃん。それは、食べてはいけません」
でも、メルシーおばさんは、骨を咥えて離しません。
パパは、骨の端を指で挟んで、骨をひっぱりました。
それでも、メルシーおばさんは、骨を咥えて離しません。
パパは、骨を手で握って、思いっきり引っ張りました。
メルシーおばさんは、やっと、骨から口を離しました。
パパの手は、フライドチキンの油でべとべとになり、パパは、口の中で何か、つぶやきながら、公園の水道で手を洗っていました。

2度目は、クリスマスの時です。パパとママは、チキンの腿のローストをオーブンで焼いて食べていました。
メルシーおばさんの方まで、チキンの美味しそうな匂いが漂ってきました。
メルシーおばさんは、「チキンが食べたいよう」って、ちょっとだけ、吠えました。パパとママは、メルシーおばさんが吠えた理由をすぐに理解したようです。

メルシーおばさんが吠えても、いつも、お食事のおすそ分けにあずかれる訳ではありません。
犬は、塩分の多い食品は食べられません。お砂糖の入っている食品も、ダメです。メルシーおばさんの歯は何本か抜けてしまっているので要注意です。

ローストチキンには、甘いタレがかかっていますが、甘いのは表面だけです。
パパとママはチキンをだいたい食べてしまったので、残っている部分は、骨と、骨の周りについている少しだけのお肉になりました。
パパとママは相談して、骨の周りのお肉なら、お砂糖がついていないので、メルシーおばさんが食べても健康に問題はないだろうということになりました。

こうして、ローストチキンの脚の骨付き肉をいただけることになりました。

その骨付き肉の美味しかったこと、まるで夢のようでした。公園に、捨てられていた骨とはレベルが違います。

骨付き肉にはお肉はあまりついていなかったのです。でも、メルシーおばさんは、チワワですから、チキンの脚を一本食べてしまったら、食べすぎで体を壊します。ですから、メルシーおばさんにとっては、適量のお肉でした。少量のお肉ですからパパとママは、3分もすれば、メルシーおばさんが食べ終わると思っていたようです。メルシーおばさんは、早食いです。ドッグフードのトッピングに、お刺身をのせていただいた時には、10秒もかからずに食べ終わります。犬には、物をすりつぶす歯はないので、お食事は呑みこむのが基本だからです。

しかし、この時は、10分たっても、メルシーおばさんは、骨を口から離しませんでした。パパとママは、やっと、このままでは、メルシーおばさんのお食事が終わらなくなってしまう異常事態に気づいたようです。そこで、メルシーおばさんに、骨を口から離すように、いったようですが、メルシーおばさんは、まだ、夢中で、何をいわれたか覚えていません。
結局、ママがメルシーおばさんを抱きかかえて、パパが両手で、チキンの脚の骨をもって、引っ張って、2人がかりで、やっと、メルシーおばさんのお食事を終わらせることができました。

このことがあって、パパとママはメルシーおばさんに、チキンの脚の骨付き肉をあげるには、それなりの覚悟がいると思っているようです。

パパとママにその覚悟がない時には、メルシーおばさんの2番目の好物のエビのシッポを頂いています。メルシーおばさんは、シッポを全て食べてしまいますので、後片付けも不要です。

メルシーおばさんはチキンを食べさせてもらえないのではないかですって。
いいえ。メルシーおばさんは、いつも、ドッグフードの上に、鶏肉と温泉卵のトッピングをしていただいています。

メルシーおばさんが、食べさせてもらえなくなったのは、チキンの骨なんです。
どうして、食べられない骨が好きかですって。こればっかりは、人間にはわからないと思います。犬にとっては、説明不要なことですが。

サンタさん、今年のクリスマスには、エビでなくで、チキンの骨付き肉をお願いしますね。


写真1 エビのシッポを自分の方に、引き寄せているメルシーおばさん。


写真2 シッポより先にエビの身を食べているメルシーおばさん。


写真3 エビのシッポを噛み砕いているメルシーおばさん。

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