第567話 メルシーおばさん、お散歩公園で、ラプンツェルをみつける

文字数 1,655文字

2010年のディズニーのアニメ映画「塔の上のラプンツェル( Tangled)」の原作はグリム童話の「ラプンツェル(髪長姫)」です。ラプンツェルは、塔から金色の髪を下ろし、王子がその髪を登って塔に入ります。英語のタイトルのTangled(もつれた)は、塔からおろした髪を指しています。

グリム童話の「ラプンツェル(髪長姫)」の出だしは次のようなお話です。

<妊娠した母親が隣の魔女の畑のラプンツェルを盗んで食べてしまいます。生まれた娘はラプンツェルと名付けられ、魔法使いの娘として18年間、深い森に囲まれた高い塔の中で暮らし、髪の毛の長さが21mになります。>

つまり、ラプンツェルは、野菜の名前です。

ラプンツェルと呼ばれる野菜はオミナエシ科のノヂシャ(野萵苣、 Valerianella locusta)です。レタスなどのキク科のチシャとは、系統が異なります。ノヂシャは、地中海島部原産の1年草で、江戸時代の長崎、または、明治期に導入されたものが野生化して広がったといわれています。

今回は、メルシーおばさんが、お散歩公園でノヂシャを見つけたお話です。

なお、ノヂシャによく似た植物に、シロノヂシャ(白野萵苣)があります。シロノヂシャは、北アメリカ原産の植物で、日本では、1993年に神奈川県で初めて発見されています。

ノヂシャとシロノヂシャは、花の色と種の形で区別しますが、よく似ています。

補足:ラプンツェル(髪長姫)の起源

グリム童話の「ラプンツェル(髪長姫)」の出典は、1790年にドイツ人作家のフリードリヒ・シュルツさんが出版した「小説集」です。「小説集」では、夫婦の隣の住民は、魔法使いではなく、妖精でした。グリム童話「ラプンツェル」の隣人も、初版では妖精でしたが、改訂版では、魔法使いに変更されています。

ドイツ文化の素晴らしさを伝える意欲に燃えるグリム兄弟は、シュルツさんの「小説集」をドイツ独自の民話を基にした再話文学だと思い込んでいたようです。

シュルツさんの「小説集」は、1698年にフランスのド・ラ・フォルスさんが出版した「ペルシネット(妖精物語)」 の翻訳でした。

「ペルシネット」の原作は、1634年にイタリアのジャンバティスタ・バジーレさんが出版した「ペンタメローネ(五日物語)」収録の「ペトロシネッラ」でした。

「ペルシネット」と「ペトロシネッラ」では、妊婦が食べる野菜はパセリでした。シュルツさんは「小説集」で、パセリをラプンツェルに変更しています。

シュルツさんが、お話を書き換えていなければ、「塔の上のラプンツェル」は、「塔の上のパセリ」になっていたことになります。


写真1 お散歩公園の新緑のイチョウの木の下で休んでいるメルシーおばさん。


写真2 駐車場の前の池には、カキツバタの花が少しだけ咲いていました。


写真3 カキツバタの花のクローズアップです。お散歩公園のカキツバタの花の数は、最近は、少なくなっています。


写真4 2014年の駐車場の前の池の写真です。この頃は、カキツバタがたくさん咲いていました。


写真5 2014年の遊具広場の前の池です。カキツバタがたくさん咲いていました。改修前の古い遊具も見えます。


写真6 藤棚の前に来ると、藤の花が咲いていました。


写真7 藤棚の前のメルシーおばさん。


写真8 藤棚の前のメルシーおばさん。 足元に小さい白い花が見えます。これが、ノヂシャ(ラプンツェル)です。


写真9 ノヂシャの前のメルシーおばさん。


写真10 ノヂシャです。


写真11 中央の緑地帯に白い花のノヂシャが見えます。


写真12 緑地帯のノヂシャの前のメルシーおばさん。


写真13 緑地帯のノヂシャの前のメルシーおばさん。


写真14 緑地帯のノヂシャを調べているメルシーおばさん。


写真15 緑地帯のノヂシャを調べているメルシーおばさん。


写真16 ここにもノヂシャがありました。


写真17 ここにもノヂシャがありました。


写真18 ここにもノヂシャがありました。


写真19 ノヂシャの花のクローズアップです。

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