第352話 レッドドラゴン戦!3

文字数 1,314文字



 まだターンは終わってない。
 アンドーくんが『みんな、巻きで行こう〜』をかける。それも三連続だ。
 やっぱり、レッドドラゴン、巨大なだけに極端に遅い。

「さっき、ケロちゃんのフェイクが効かなかった。レッドドラゴンは石化耐性があるのかもしれない。シルバンは確認のためにミダスタッチしてみて」

 素早さの数値はケロちゃんのほうが速いんだけど、シルバンは僕らのなかでは動きが遅いから、最後に行動させると逃げきれなくなる。

 仲間で相談すれば、ターン内での行動順を切りかえられることを、最近の特訓のなかで知った。

 シルバンはゴンゴンゴンと足音を立てて、のそのそ走っていくと、レッドドラゴンの足にタッチする。
 ケロちゃんの自動石化は効果が50%だが、シルバンのミダスタッチは、耐性のない相手には100%だ。これで石化がかからなければ、レッドドラゴンは確実に石化耐性を持っていることになる。

 石化してくれれば、シルバンのタッチだけで戦闘が終了してたんだけど、やっぱりそうはいかない。
 レッドドラゴンはシルバンにさわられても、ゆっくりまばたきしたただけだ。ちょっとバカにしたようにすら見える。

「石化攻撃は効かないんだね。ケロちゃんはHP低いから、猫車に戻っといたほうがいいかも……」

 僕は言ったんだけど、ケロちゃんは急に目の端をキッとさせた。
 ケロちゃん、前に使えないヤツあつかいをされたことがコンプレックスになっちゃったみたいだ。

「ケロケロー!」

 僕だって戦えるよと言わんばかりに叫ぶ。すると、ケロちゃんの体からミストが発生した。

 ……なんだ、これ? まさか、石化霧じゃないよね?

 僕はあわててケロちゃんのステータスを見なおした。
 さっきからいっきにレベル上がったんで、確認してなかったけど、ケロちゃんの使える特技が増えてる。

 水の結界……?
 どっかで聞いたような?
 これは、アレか?
 サラマンダーが使ってた火の結界の水属性バージョン?

 詳細で見ると、思ったとおりだ。
 行動ずみの敵ターゲットを結界内にとどめ、水属性の魔法や攻撃の効果を二倍にする。

 おおっ! スゴイ。水属性ならレッドドラゴンの弱点だ。
 ん? でも、僕らのなかで、誰か水属性の魔法使えたっけ?

「……冷たくなれ〜は氷属性だよね?」
「うん。氷属性だがね」
「水属性……次のターンなら、ぽよちゃんの魔法で僕の攻撃が水属性になるなぁ」
「かーくん。水の結界は3ターン続くみたいだよ」
「水属性で五割増しの上に、水の結界で、さらにダメージ二倍! 僕が三十回攻撃したら……36000ダメージ! らくらく倒せるじゃないか!」

 ああ、これを今のターンでやっとけばよかった。いろいろ気づくのが遅すぎたよ。

 問題は、次のターンのレッドドラゴンの攻撃がどのていどのものかだ。
 国境の火竜は最初の行動ターン、雄叫びをした。雄叫びはブレス攻撃のダメージを上げるけど、それじたいに攻撃力はない。
 火竜の行動も一ターンに一回きりだった。レッドドラゴンも素早くないから、たぶん、そのていどだ。
 つまり、次のターン、レッドドラゴンが雄叫びですましてくれれば、僕らはノーダメージで竜を倒すことができる。

 これなら、勝てるぞ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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