第98話 よし! 出発だー!
文字数 931文字
仲間モンスターたちが劇的に可愛くなったころ。
ようやく、スズランの旅支度が整った。ひざ丈のローブみたいなものの上に銀の胸あてをまとっている。そして、背中に大きな弓と革の矢筒を背負っていた。彼女、弓使いかぁ。エルフっぽくてカッコイイなぁ。
足元は革の編みあげサンダルだ。
肩からななめがけの革のバッグがスズランさんのマイバッグなんだろうな。
銀のひたい飾りが巫女らしくていいね。
あれ? でも、まだ、スズランのステータス見れないや。NPCなのか。
「わたしの得意技は転職の祈りです。どなたか旅の途中で転職したくなったら、いつでも言ってください。転職しても、それまでにその職業でたまったポイントはリセットされませんから、安心していろんな職業にチャレンジしてくださいね」
歩くマーダー神殿づれの旅!
「まあ、スズランに戦わせることなんてないよ。馬車でクマりんやぽよちゃんと遊んでればいい」
蘭さんは請け負った。
そうだよね。
じっさいには僕や三村くんより、ぽよちゃんやクマりんの装備品のほうが優れてるけど、女の子や可愛い系モンスターに戦わせるより、そのほうがいい。ケガは魔法であとかたもなく治せるけど、痛いもんは痛いし。
というわけで、馬車の外には男四人。でも、これからは馬車をふりかえるたびに、可愛いクマや可愛いウサギとたわむれる美少女が見れるんだ。そこ大事!
安藤くんの装備は何やら暗殺部隊の特注品のようで、黒い革製品の服のような、よろいのようなものだ。初期に買える皮のよろいとはまったく違うもので、防御力も35と、この段階ではけっこう高い。軽く素早く動くことができるように開発されたもののようだ。
なので、アンドーくんにはお金をかけずに、そのまま出発することに。
「お師匠さま。必ず戻ってまいります。それまで神殿をお願いいたします」
「任せなさい。なんの心配もいらんよ。そなたも道中、気をつけるのじゃぞ」
「はい。行ってまいります」
マリーさんや神殿の神官さんたちに見送られて、僕らは旅立つ。
やっと……やっと当初の目的のボイクド国へ。
へへへ。強くなった僕らを見て、ワレスさんも少しは見なおしてくれるかな?