第76話 カボチャも怖い……
文字数 926文字
カボチャのランタンが目の前で黄色く光り、次の瞬間、こなごなになって四方八方に飛びちる!
カボチャの残骸が弾丸のように僕らを襲った。
「わあッ!」
「あちッ! 焼きカボチャ爆弾ー!」
「食いもん粗末にしたらあかんがなー!」
なんとか盾で、あるていどはよけたものの、全部はさけきれなかった。
熱い……カボチャ、爆発するやつだったのか。
もちろん、カボタンは自爆死だ。
哀れ。神風精神のモンスターよ。安らかに。
僕らはそれなりに打撃を受けた。
HPが半分くらいにまで減った。
カボタンの爆発を二連続でくらったら、全滅かもしれない。
僕らの見てる前で、カボタンの飛びちったあとから、ふうっと火の玉が浮いてくる。
むーん。本体の火の玉はまだ生きてるのか。やっかいだなぁ。
「こいつ、死んだ仲間に憑依して復活させるモンスターなんですね」
「うん。しかも憑依した仲間が死んでも、自分のHPがつきるまでは戦えるんだ」
「もう一回、カボタンに取り憑かれたら、僕らヤバイですよ?」
「だよね」
「次のターンで確実にしとめないと」
蘭さんは作戦を練っている。
「ザコ敵だし、エレメンタル系はたいていそんなにHP高くないですよね。僕が『燃えろ〜』を四回放って、かーくんが破魔の剣の装備魔法を使用すれば、なんとか倒せると思うんです」
僕も考えた。
「それでもいいんだけど、こんな出てすぐのとこでMPをそんなに使っちゃうと、あとがしんどいよ」
「じゃあ、どうするの?」
「一か八かなんだけど、僕の幸運度に賭けてみたいんだ。そのかわり、この森をぬけるあいだ、僕とシャケが武器をとりかえる。たしかに、それだと僕の攻撃力は下がるけど、破魔の剣の魔法をシャケが使えるし、クリティカルが出れば、鉄のブーメランでも充分、火の玉くらいは倒せると思うんだ。ロランは万一のときのために、自分のHPを回復させて、全滅を回避しといてほしい」
「なるほど。MPを回復させる手段は今のところ回復の泉にたよるしかないですもんね。そうしましょう」
というわけで、僕は三村くんと装備武器を交換した。
次の僕の攻撃でクリティカルが出るかどうかが勝負のわかれめだ。