第270話 抽選、抽選〜

文字数 1,311文字



 ギルドに来たんで、まだ行ったことない施設にも行ってみよう〜
 たしか、ここには抽選場とカジノがあるはずなんだよね。

「抽選券、けっこうたまってるなぁ。抽選すると何が貰えるんだろ?」
「行ってみぃか?」
「あの、わたしは情報屋に行ってみたいんですが」
「なら行くかぁ」

 あっ——

「アンドーくん。スズランさん……」

 二人に置いていかれてしまった。くすん。
 さみしいなぁ。

 ゆら〜り。

「たまりん、ありがとう」

 ゆらゆら〜

 ああ、優しさがしみるなぁ。
 これで、たまりんがあの幻の美少女だったらなぁ。せめて人間……。

 僕は人魂をつれて、抽選場に向かった。二階のすみっこに、それはあった。ガラポンがカウンターに一個。奥に座ってるのは……どう見ても合成屋のおばあさんに見えるんだけど?

「カアーッ! わたしゃ、合成屋のババではござりませんですよ。ただのバイトでございますです」

 いやいや。そのくどい口調と言い、あきらかに合成屋のおばあさんだよね?
 まあいいや。
 抽選したい。

「じゃあ、抽選させてください」
「はいはい。抽選券をお出しくださいでごさいますですよ。抽選券一枚につき、一回まわせますでございます」
「えーと……ミャーコ。抽選券お願い」
「ミャー」

 抽選券がカウンターの上に吐きだされてきた。すごい。紙吹雪だ。

「ひぃ、ふぅ、みぃ、よー……百十二枚でございますです」
「思ったよりたまってたなぁ。はい。じゃあ、行きま〜す。一回め!」

 ガラガラガラ……ポン!
 コロンと出てきた玉は、いきなり金色。

「あれ? 金色だよ? これって大当たりなんじゃ?」

 幸運効果なのかっ?
 あんまりアッサリ一等出たんじゃ、ひょうしぬけだなぁ。

「ハズレでございますですよ」
「えっ? ハズレ?」
「ハズレでございますです」
「だって、金色だよ?」
「カアーッ! これを見さっしゃい!」

 おばあさんがドンと壁を叩く。
 そこにガラポンの景品を書いたポスターが貼られていた。

 特等は赤。景品、万能のカギ(隠し扉)。二回め以降は白紙の秘伝書。
 一等は青。景品、『死なないでェー!』の秘伝書。
 二等は黄色。景品、盗賊のツボ。
 三等はピンク。景品、僧侶のツボ。
 四等は緑。景品、戦士のツボ。
 五等は白。景品、装飾品(ランダム)。
 六等は金色。ハズレ。たまに抽選券。

 な、なるほど。たしかにハズレだ。
 まぎらわしいなぁ。

「以前は金色が大当たりだったんでございますですよ。でも、お客さまに大当たりの気分を味わっていただきたいと存じまして、大当たりだった金色をハズレに、それ以下の色を一個ずつくりあげましてございますです」
「……そうですか」
「はい。オマケで抽選券一枚さしあげまずでございますよ。ドンマイでございますです」
「あ、ありがとうございます……」

 気をとりなおして、二回め〜

 ガラガラガラ……ポン!
 白か。白は五等だね。アクセサリーを貰えるんだ。

「はい。五等でございますですな。これをどうぞ」

 白い箱を渡されて、あけてみる。
 な、なんとぉー!
 これこれ。これぞ、僕の幸運マックス手前。
 なかには、天使の羽飾りが入ってた。
 五等の商品にしてはよすぎるでしょ。
 また精霊のアミュレットと合成しよう。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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