第234話 やっと見物できる王都
文字数 1,074文字
帰ってきた〜!
花の王都。シルバースター。
何回見ても都会だぁ。
「昨日はギルドのなかもほとんど見れずに、お城につれていかれたからさ。今度こそ、街のなかを見てまわろうよ」
今日は長い一日だ。
朝からノーランを出発して、昼にはポルッカランド。
そのあとすぐにコビット村、マーダー神殿と来て、王都へ帰ってきた。
お日さまが傾きかけている。
西日がさんさんと輝いて、街行く人々もせわしない。僕らの世界基準で言えば十七時くらいかな。
「広い街だから、今日はギルド見たら終わりかなぁ。あっ、宿はいらないんだよ。ワレスさんが兵舎のなかに僕らの部屋も用意してくれるって」
「あの失礼な騎士ね」
「あはは……」
そうだった。
前に会ったときのことだね。
意外と根に持つんだな。蘭さん。
「と、ところで、ロラン。なんでドレスから着替えないの?」
「勇者の正体が男だとバレてしまったので、女のふりしてたほうがいいのかなと」
「あっ、なるほど」
蘭さんが美女だから、みんながふりかえっていくじゃないか。
なんだか、すぐウワサになりそうだなぁ。
僕らはギルドに入っていった。
今回は人間がちょうど四人いるので、モンスターたちは馬車でお留守番だ。
「そういえば、途中でロランからの手紙、受けとったよ。預かり所って便利だね」
「そうですね。パーティーがなんらかの理由でわかれてしまったときに、すごく助かります。僕の国にもギルド作りたいなぁ」
蘭さんの国は今、王様がアレだからな。自国に攻め入る作戦がひそかに練られてると知ったら、どう思うだろうか?
ここでは人に聞かれると困るから話せないけど。
「これからは、もしものときのために、預かり所に現金や予備の装備品を預けといてもいいね」
「そうですね」
とにかく、まずは銀行だ。
さっきの行軍。
バジリスク隊長と戦ったときは三百万しか拾ってなかった。けど、そのあと、ポルッカさんの屋敷のなか、虹の谷を歩いたので、二キロ近く歩いた。合計で二千万円以上を拾った。
「今、僕の預金って一千三百万でしたよね。じゃ、ちょうどになるように一千七百万円預けます」
「はい。たしかにお預かりいたしました。かーくんさんからは、ただいま三千万円お預かりいただいております」
風神のブーツってのをくれる五千万円まで、もうちょいだな。二千万がもうちょいって、すごい感覚だ。
「さ、じゃ次は買い物だね。いい武器や防具はないかなぁ。みんなにも買ってあげるよ〜」
「わあっ。なんだか、かーくん、パパみたい」と、蘭さんが言った。
ふだんの“甘える”ぶりがしのばれる。
さ、武器屋にレッツゴー!