第11話 シャケ商店

文字数 847文字



 詰所にいた全員から話を聞くと、僕は三村くんとともに廊下へ出た。
 詰所のとなりには『兵術訓練所』と看板がたっている。ちゃんと文字も日本語だ。まあ、通貨単位が円だもんな。

 兵術かぁ。その前に、とりあえず装備をそろえたいんだけど、ここって武器屋を見かけないなぁ。
 と思っていたら、なぜか、ずっとついて歩いていた三村くんが、兵術訓練所の看板のよこに、壁にピタッと背をつけて立った。

「どうしたの? 三村くん」
「へい。らっしゃい。武器でっか? 防具でっか?」

 お……おまえかァー! 武器屋!
 たぶん、お城のなかに店屋がないんだな。
 この場所が三村くんの商売の固定位置なんだろう。

「……えっと、じゃあ、防具」

 僕はまず守りを固める派だ。
 今のところ初期装備の布の服と、宝箱から回収した皮の帽子しかつけてないから、もろいのなんの。

「らっしゃい。シャケ商店へようこそ。防具なら、このへんや」

 お品書きを渡された。
 皮のよろいが八十円。
 皮の盾が五十円。
 革靴が三十円か。
 一個だけ青銅のよろいがある。でも、これは百八十円もする。高いなぁ。だけど、できることなら、なるべくいい装備を早めに買ってそろえたい。ちまちま安いの買って何度も買いかえるのは愚の骨頂だ。

「ちなみに武器は?」
「武器なら、このへんやな」

 またもや、お品書き。
 ちゃんと現物、持ってるのかな?
 ちなみに、果物ナイフが百円。
 銅の剣が百五十円。

 うーん。武器は高いな。そして、どれも接近戦向けだな。できれば遠くから攻撃できるものがいいんだけどな。
 巨大イモムシとか、さわりたくない。

 皮のムチ、八十円か。
 まあまあだなぁ。
 でも、安物は買わないぞ。

 あっ、ブーメランだ。
 ブーメランがある!
 懐かしのあのゲームで、さんざんお世話になったブーメラン。敵全体を攻撃できるから超便利なんだよね。

 ブーメランは……三百五十円!
 僕の所持金より高いんですけど。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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