第249話 スライムチューチュー

文字数 1,008文字



「しょうがないですね。外に四人いる必要はないな。バランとぽよちゃんは馬車に入ってて。そうだ。ケロよんはレベル1ですよね? 外に出しておけばレベルの平均値が下がるんじゃないですか?」
「うん。まあ、そうかも」

 ぽよちゃんはキレイな森をお散歩したかったみたいだけど、ごめんね。
 なんとなく、そうは見えないけど、これは特訓なんだ。百体のスライムをチューチューしなければならない。

 ぽよちゃんとバランに馬車に入ってもらった。ケロよんは仲間になったばかりだから、まだレベル1だ。

「ケロよんだから、ケロちゃんだね」
「まあいいですよ。わかりやすいし」

 ケロちゃんのステータス。
 レベル1。
 HP20、MP0、力3、体力3、知力4、素早さ5、器用さ1、幸運3。
 マジックなし。
 得意技
 石化攻撃
 自動石化攻撃発動50%(ターン開始時)
 呪いを解く

 数値から言うと、力や体力は強くもなく、弱くもなく。知力と素早さが、やや高い。器用さが低めなんで、攻撃の命中率が悪いみたいだ。
 とは言え、ターン開始時の自動石化攻撃が、とにかく脅威。仲間にこの特技があるのは心強い。
 ただ後半のボスはみんな状態異常耐性を持ってるだろうから、おもにザコ戦での活躍になる。
 とは言え、ラストダンジョンでも使える能力だ。ケロちゃんもしっかり育てたい。

「あっ、ケロちゃん。やっぱり炎シリーズが装備できる。じゃあ、これ着てね。武器は剣が持てるんだ。あっ、ヤリも持てる。じゃあ、銀のヤリ持っててね」

 昨日、買ったばかりの武器防具を装備させると、赤い帽子、上着、手袋と長靴を身につけたアマガエルのぬいぐるみは、童話の絵本のなかの産物のようだ。
 ついでに精霊のアミュレットもつけさせたんで、全ステータスが20ずつ上がる。これでスライムにやっつけられる心配はない。

「じゃあ、あらためて、スライム狩りを」
「かーくん。魔物をひきよせるアイテム持ってましたよね?」
「あっ、あった。あった。魔物の草笛ね。使おうか」

 草笛を吹いた。
 あたりに邪悪な気配がただよった。
 これで、しばらくのあいだエンカウント率が上がるぞ。

 出た出た。さっそく出たー!
 ん? スライムじゃない?


 銀晶石のゴーレムが現れた!


 ええっ……? ゴーレム?
 強そうなの出てきたんだけど……。

「ど、どうしよう? ロラン?」
「戦うしかないんじゃないですか?」
「そうだよね……」

 ごっくん。
 しょうがない。
 やるか……。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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