第83話 フェニックス戦! 3

文字数 1,194文字



 僕らに勝ちめは、まずないと言ってよかった。
 フェニックスが回復する前に、もっと大きなダメージを与えることができれば、落とすこともできたかもしれない。
 でも、こっちの与ダメより、敵の回復力のほうが上まわってる。

 蘭さんの目つきがまた鋭くなっている。

「毎ターンの少しずつの攻撃じゃ、やつの回復魔法で帳消しにされてしまう。やつは先制攻撃ののち、二回、足をふみならす攻撃をして、その次のターンで回復した。つまり、四回に一回、回復する。ぽよちゃんのアルテマハイテンションアタックと、クマりんの合体に賭けるしかありません。申しわけないけど、シャケは馬車で待機して、クマりんと交代してください。かーくんは回復役に徹して。僕がずっと、補助魔法で、みんなの攻撃力をあげる」

 そうだ。たしかに、ここはダメージのとびぬけた攻撃を、フェニックスが回復魔法を使ってから、次に使うまでの三ターンのあいだに連続して出していくしかない。

 できることなら、三ターンの最初から、ガンガン行きたいとこなんだけど、クマりんは合体するまでに何ターン必要なんだ?
 たしか、僕らと戦って合体したとき、クマりんはえーと……六? いや、七体の仲間を呼んだんだっけ?

 僕はとりあえず、ぽよちゃんに声をかけた。

「ぽよちゃん。クマりんが合体するまで、アルテマハイテンションになっても攻撃するのを待ってほしいんだ」
「キュイ!」
「馬車に入ってもテンション続く?」
「キュイ、キュイ!」
「じゃあ、アルテマハイテンションになったら、クマりんが合体するまで馬車で待ってね」
「キュイ〜」

 よし。作戦は終了だ。
 この方法でやるしかない!

 仕切りなおし一ターンめ。
 蘭さんは「みんな、がんばろ〜」の笑顔で僕らの攻撃力を四回もあげた。
 ああッ! 力がみなぎってくるー!

 三村くんがいなくなったので、次の順番は、ぽよちゃん。
 ぽよちゃんは、ためた。
 あれ? でも、体にこの前みたいなオーラがつかない?
 そうか。アルテマハイテンションは必ずなれるわけじゃないのか。そういえば本家のヤンガ〇でも、そうだった。
 しょうがないが、まあ、どっちみち、まだクマりんの合体までにはターンが必要だ。

 次は僕。
 ずっと戦闘現場に出てたから、僕とぽよちゃんもちょっとHPが減ってる。最大値の低いぽよちゃんに、僕は「元気になれ〜」と回復魔法をかけた。

 クマリンの仲間呼び!
 どこからともなく、子グマちゃんが現れる。子グマちゃんが二匹に。

 あっ、あれ? よく考えたら、次のフェニックスのターンって……。
 最初、先制攻撃してきたよね?
 そんで、翼で打たれて、蘭さんが70もHPが減った。
 まさか、またアレやるのか?
 僕や蘭さんは大丈夫だ。
 でも、クマりんがあれを受けると即死かもッ?
 ヤバイ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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