第131話 襲撃される街
文字数 1,518文字
サンディアナの街がモンスターたちに襲われている。
街のあちこちから黒煙があがり、物の破壊される音が響きわたった。
悲鳴や泣き叫ぶ声も聞こえる。
襲っているのはミニドラゴンや、コウモリ男や見習いガーゴイルだ。ガーゴイルに見習いっているんだな。
さっきまでの洞くつの魚市場より、じゃっかん固いが、特殊攻撃はミニドラゴンの火の粉ブレスくらい。燃えろ〜を全体攻撃にしたていどだ。しかも、たいてい敵モンスターは一匹ずつでしか出てこない。
僕らは目につくモンスターをかたっぱしからやっつけていった。
火力の高いぽよちゃんやクマりんを前に出して、あとは蘭さん、僕で
キャーと悲鳴が聞こえれば、家のなかまで走っていく。
「ミニドラゴン! 僕たちが相手だ! ムチ四連打!」
「ロラン。ガーゴイルは、ぽよちゃんが倒した!」
「はい。この家のなかには、もうモンスターはいませんね。おばあさん。大丈夫ですか? ケガはありませんか?」
「ありがとうございます」
「ここは危険です。モンスターがいなくなるまで、堅固な地下室などのある場所に退避していてください」
「となりのお宅には地下室がありますだ。そこまで逃げとりますだ」
ん? なんで、こういうときの老人って、とうとつに訛るんだろう?
ふんいきかな?
田舎設定の村じゃないんだし。
そんな感じで戦いながら進んでいくので、なかなか先へ進めない。
「ロラン。かーくん。二手にわかれたらどや? 街の人を逃がす役目と、トーマスんとこ行く役にわかれようや」
「そうですね。そのほうが早い」
たしかに、このていどのモンスター相手なら、戦力を均等にわけさえすれば、パーティーを二分しても楽に勝てそうだ。
「誰と誰にわかれますか?」と、蘭さんが言うので、僕は考えた。
「スズランを除外したとしても、八人いるから二つパーティーが作れるね。スズランはお兄さんといっしょがいいだろうから、ロランのパーティーに入れるとして」
ロランが思案した。
「これまでの戦いの感じから言って、作戦を立てることができるのは、僕とかーくんだ。僕のパーティー。かーくんのパーティーにわけよう。ぽよちゃんは、かーくんについていくでしょう?」
「キュイ〜」
僕ではなく、ぽよちゃんが返事した。
ぽよちゃん。僕も大好きだよ〜。
それを見て、トコトコとクマりんが三村くんにすりよっていった。耳と腕をなおしてもらってから、クマりんは三村くんの舎弟のようだ。
たまりんも馬車から出てきて、僕の肩のあたりに、ふわりと浮かんだ。
バランは一礼して、「私はどちらでもかまいませんよ」と言った。
もはや、日本語は世界共通語だね!
蘭さんが残りのメンバーをふりわける。
「じゃあ、かーくんのパーティーに攻撃魔法できる人がいないから、アンドーを入れよう。かーくん、アンドー、ぽよちゃん、たまりんで四人ですね。とすると、三村くんとクマりんは僕のパーティー。バランは火力不足のかーくんの隊をサポートしてもらおうかな」
「あっ、待って。ロラン。アンドーくんの忍び足があるから、僕らは少人数で急いで、トーマスの家に行くよ。スズランのためにも、馬車はロランたちが持ってたほうがいいだろうし」
「なるほど。そうですね。じゃあ、バランは僕たちといてください」
そういうわけで、僕らは二つのパーティーにわかれた。
「かーくん。一時間後にこのあたりで落ちあいましょう」
「うん。気をつけてね。ロラン」
「かーくんこそ」
僕はアンドーくん、ぽよちゃん、たまりんとともに街の中心に向かって走りだす。
まさか、ほんのいっときのつもりの別れが、思ってもみないほど長期間に渡るとは、このときは思ってもみないかーくんだった……。