第149話 本のオバケ

文字数 1,030文字



 ブッキーってなんだ?
 コイツは野生なんだ?
 廃墟に勝手に住みついてるモンスターってこと?

 ぽよちゃんが寝てるから聞き耳は使えない。
 こういうときにわかる仲間のありがたさ。
 聞き耳って優秀な技なんだな。

 本の形のモンスターが赤、青、黄色とならんで出現した。
 一匹ずつはそう強く見えないんだけど、なんかあの笑った目の形がヤダな。ちょっとミミックに似てる。物質系のモンスターってことだな。

「こいつら、即死魔法使うかもね。気をつけないと。みんな、さがってて」
「了解。たのんよ」

 アンドーくんは遠くから「もっと燃えろ〜」を唱える。魔法使いの職業ランクが上がって、「もっと燃えろ〜」と「もっと冷たくなれ〜」が使えるようになったのだ。

 本だから、火属性の魔法が効果的と考えてのことだろう。左端の赤い本に火がついた。けど、倒れない。

「あれ? こいつら、魔法耐性あるのかな?」
「それか、属性があわんだったかな。次は氷属性で攻撃すうわ」

 しかし、今のターンのアンドーくんの行動は終わりだ。アンドーくんは連続攻撃できるほどには素早さがずばぬけてない。かなり速いほうではあるけど、アイテムで補正されてないからね。

 僕は鋼鉄のブーメランをなげた。
 燃えてブスブスしてた赤い本は直撃を受けて、真っ二つに裂ける。そのまま、パタンと床に落ちた。
 青い本はヒラリとかわした。
 黄色い本にはキレイにクリティカルが決まる。これも二つに分解されて床に落ちた。

 たまりんの表情はわからないんだけど、ゆら〜りとゆれて、呪文を唱えたようだ。青い本が水びたしになる。
 冷たくなれ〜を使ったんだね。

「うーん。冷たくなれも、あんまり効いてなくない?」
「そげだね。魔法全般に強いのかもしれんね」

 謎だったけど、ナッツが切りかかっていくと、青い本も床に落ちた。HPのごく少ない連中だったようだ。

「よくわかんないけど、弱いヤツらでよかったね。なんか面白い本がないか探してみよう。もしかしたら、グレート所長の研究についての本があるかもしれないし」

 というわけで、僕らは図書室の本をしらみつぶしに調べた。
 結果から言えば、いくつか貴重な情報の書かれた本を見つけた。

 ただ、そのたびにブッキーと戦闘になったけど。


 野生のブッキーが現れた!


 またか……。
 ブッキーって必ず三色で現れるんだよなぁ。めんどうだけど戦わなくちゃ。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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